同じ「HubSpot導入支援をお願いしたい」という依頼でも、見積額は会社によって数倍の開きが出ます。たとえば、移行するデータがExcelの顧客台帳1枚なのか、名刺管理と他社CRMに散らばった数万件なのかで、作業の中身はまったく別物になります。
開きを生むのは、操作する人数、メールを送る顧客の件数、移行元、連携先、Webサイトの置き場所という5つの数字です。
数字が金額を左右するのは、パートナーへの支払いだけではない点にも注意が必要です。
2026年10月時点のHubSpotの料金体系では、シートとマーケティングコンタクトの数で月額が変わり、Professional以上のエディションには1回限りの導入支援費が組み込まれています。5つの数字は、HubSpot社に払う金額と、外部に頼む範囲と、社内に残す作業を同時に決める物差しです。
ここからは、数字の書き出し方を起点に、公式とパートナーの分担、データの持ち方、費用の組み立て、移行の判断、支援会社16社の比較までを、契約前に決める順に並べました。広告から入ったリードをHubSpotの取引につなぐ計測を担う株式会社Grillの立場から、流入元の記録が抜けやすい箇所にも触れていきます。
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HubSpotの料金は、操作する人の数と、メールを送る相手の数を単位に組み立てられています。そこに移行と連携とWebサイトの条件が重なると、エディションも、頼むべき相手も、見積もりの大きさも連動して決まります。まずは次の5つを社内で数えるところから始めます。
最初に数えるのは、HubSpotで日常的に作業する人の数です。HubSpot公式の料金ページによれば、Marketing Hub Professionalは月額96,000円(年払い)で「3件のコアシートを含む」構成です。
Enterpriseは月額432,000円で、「5件のコアシートを含む」とされています。一方、Sales HubとService HubのProfessionalは1シートあたり月額10,800円(年払い)の積み上げになります。
マーケティング担当が2人だけならMarketing Hubに含まれる枠で足りても、営業20人に商談の記録を任せるならSales Hubのシート数がそのまま月額を左右します。誰が入力し、誰が閲覧だけで済むのかを、部署ごとに名前で書き出しておくと判断がぶれません。権限の設計も、この名前の一覧が土台になります。
この数字が大きいほど、操作研修と権限設計を任せられるパートナーの比重が増えます。
2つ目は、マーケティングメールや広告の配信対象にする件数です。公式料金ページでは、Starterに「1,000 マーケティングコンタクト」が含まれます。Professionalは「2,000 マーケティングコンタクト」、Enterpriseは「10,000 マーケティングコンタクト」です。
ここで数えるのは、名刺や問い合わせで集めた全件ではなく、実際にメールを送る相手の件数です。過去の展示会リストに配信許諾が取れていない名簿が混じっていれば、その分は配信対象から外して数えます。
そもそも誰にどの施策でメールを届けるかが固まっていない場合は、「SaaSがやるべきリード獲得方法とナーチャリング」で施策全体の組み立てを先に確認しておくと、件数を見積もりやすくなります。
この数字が大きいほど、配信リストの整理とデータの重複排除を頼む作業量が増えます。
3つ目は、HubSpotへ持ち込む既存データの出どころと件数です。Excelの顧客台帳が1枚なのか、名刺管理アプリと他社CRMに分かれて数万件あるのかで、作業の性質がまったく変わります。
件数に加えて、商談や問い合わせの履歴まで持ち込むのか、会社名と担当者名だけで足りるのかも決めておきます。履歴を残すほど、項目の対応づけと重複の整理に時間がかかります。移行の設計次第で、見積もりの幅が大きく変わる部分です。
この数字が大きいほど、データ移行の実績が多い技術系のパートナーに頼む必要性が高まります。
4つ目は、HubSpotとデータをやり取りするシステムの数です。Salesforceを残したまま併用するのか、会計ソフトやチャットツール、自社の基幹システムともつなぐのかを一覧にします。
既存の連携アプリで済むものと、APIを使った開発が要るものでは、見積もりの桁が変わります。つなぐ先が1つもなければ、公式の導入支援だけで稼働まで進められる可能性が高いといえます。連携の設定だけで済むのか、仕組みの構築から必要なのかを分けて考えます。
この数字が大きいほど、カスタム開発とテストを引き受けられるパートナーの比重が増えます。
5つ目は、自社サイトをHubSpotのCMS(Content Hub)で作り直すかどうかです。HubSpot公式の料金ページによれば、Content HubはProfessionalが月額54,000円、Enterpriseが月額180,000円です。
サイトをHubSpotに載せるなら、この費用と制作の体制を別に見込んでおく必要があります。
既存のWordPressなどに残す場合は、HubSpotのフォームと計測タグを既存サイトに埋め込む作業が中心です。問い合わせを受けるページ自体の構成から見直したいなら、「BtoBに特化したLP制作の完全ガイド」が参考になります。
サイト側の計測が整っていないなら、「GA4の設定代行が得意なおすすめ会社18選」で納品物の考え方を押さえてから依頼範囲を決めると、作業の重複を避けられます。
この数字(作り直すページ数)が大きいほど、Web制作会社系のパートナーが主役になります。
株式会社Grillが広告とHubSpotの接続を引き受けるとき、最初に確認するのは、広告を出している媒体の数と、問い合わせを受けるフォームの設置場所です。この2つが分かれば、1-2と1-5のどちらに作業が寄るかがほぼ見えます。
5つの数字と、比重が増える依頼先の関係を表にまとめます。
| 5つの数字 | 小さい場合の進め方 | 大きい場合に比重が増える依頼先 |
|---|---|---|
| 有料シートの人数 | 公式の導入支援と社内研修で足りる | 権限設計・操作トレーニングに強いパートナー |
| マーケティングコンタクト数 | Starterか、Professionalの標準枠で開始 | リスト整理と配信設計に強いパートナー |
| 移行元と件数 | CSVの取り込みを社内で実施 | データ移行の実績が多い技術系パートナー |
| 連携するシステムの数 | 既存の連携アプリで設定 | API開発・テストまで引き受けるパートナー |
| CMSに載せるページ数 | 既存サイトにフォームを埋め込む | Web制作会社系のパートナー |
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5つの数字を書き出したら、次は誰に頼むかの組み合わせを選びます。HubSpot社の導入支援とパートナーの支援は競合するものではなく、重ね方によって3つの頼み方に分かれます。
HubSpot公式の料金ページには、Marketing Hub ProfessionalまたはEnterpriseについて「導入支援のご利用が必須」とあります。料金は「自動的に請求されます」と明記されています。この費用を払う以上、まずは公式のオンボーディングを使い切る前提で計画を立てるのが合理的です。
公式の導入支援ページでは、「お客さまのニーズに合わせた専用の導入支援プランを作成」すると説明されています。シート数が少なく、移行元がExcel程度で、連携先もない会社なら、この頼み方で稼働まで進められます。
ただし、社内の担当者が宿題をこなす時間を確保できることが前提です。マーケティングの責任者そのものが社内にいない場合は、「CMO代行サービスの特徴とおすすめ会社の比較」のように、判断役から外部に頼む方法もあります。
1-3から1-5の数字が大きい会社は、公式の導入支援に加えてパートナーの構築支援を重ねます。HubSpotの英語版パートナーページでは、ソリューションパートナーの導入領域を紹介しています。そこには「CRM, systems integrations, agentic builds, or IT services」と記されています。
この頼み方では、公式の導入支援は自社向けに作成されるプランに沿って進め、パートナーにはデータ移行や外部連携、CMSでのサイト構築を任せる分担が一般的です。双方が同じ設定を別々に進めないよう、どの作業をどちらが受け持つかを最初の打ち合わせで表にしておきます。
公式料金ページのFAQには、「Marketing Hub Starterを購入した場合は導入支援を購入する必要はありません」と明記されています。Starterは1シートあたり月額840円(年払い)から使えるため、まずは無料のCRMから一段上げて試したい会社に向きます。
この場合、必須の導入支援費がかからない分を、パートナーの短期支援に回す考え方が取れます。フォームの初期設定やメールのテンプレート作成など、範囲を絞ったスポットの依頼であれば、費用を抑えながら最初のつまずきを避けられます。MAの機能を一通り試し、社内で運用できる手応えを得てから上位エディションを検討しても遅くありません。
3つの頼み方を並べると、次のようになります。
| 頼み方 | 向いている会社(第1章の数字) | 社内に残る作業 | 費用が発生する箇所 |
|---|---|---|---|
| 公式のみ | シート少・移行小・連携なし | 宿題としての設定作業、社内展開 | ライセンス費+必須の導入支援費 |
| 公式+パートナー | 移行・連携・CMSのいずれかが大きい | 要件の決定、受け入れ確認 | 上記+パートナーの構築費 |
| Starter+スポット | コンタクト1,000件前後、まず試す段階 | 日々の運用全般 | Starterのライセンス費+スポット費 |
パートナーに頼む場合の流れは、多くの会社でヒアリング、要件の整理、設定と構築、データの移行とテスト、社内研修、稼働後の定着支援という順に進みます。第6章で紹介するナウビレッジも、ヒアリングから定着・運用サポートまでを同じ順序で公開しています。各工程で誰が設定を担うかを見積もりの時点で表にしておくと、進行が止まりにくくなります。
期間の目安には幅があります。HubSpotの英語版パートナーページでは、パートナーとの契約期間を「from around 6 weeks to 12 months」としています。期間を公開している支援会社の目安は、第6章の各社紹介に記載しました。
期間を左右するのは、第1章の移行と連携の数字です。株式会社Grillの支援経験上、Excelだけの移行なら2か月前後、複数システムの連携が入るなら半年を見込んでおくと、社内の体制や予定も組みやすくなります。

頼み方の見当が付いたら、費用を見積もる前に、導入支援の初回打ち合わせで決める中身を押さえておきます。データの持ち方が決まると、パートナーに頼む設定の量も見積もりやすくなるためです。
HubSpotは、コンタクト・会社・取引・チケットという入れ物と、それぞれに付ける項目(プロパティ)でデータを持つ仕組みです。後から変えるほど手戻りが大きくなる4つの決めごとを、打ち合わせで扱う順に並べました。
最初に決めるのは、個人(コンタクト)と企業(会社)をどう結び付けるかです。同じ企業の部長と担当者が別々の会社レコードにぶら下がっていると、取引の履歴が分散し、営業が過去のやり取りを追えなくなります。
まとめるキーには、会社のドメインを使うのか、社名の表記を統一して使うのかを決めます。グループ会社や支店をどこまで別の会社として扱うかも、このタイミングで文章にしておくと、データを取り込むときに迷いません。顧客の数が多い会社ほど、このルールの設計が後の集計を左右します。
2つ目は、見込み顧客がどの段階にいるかを示すステージの定義です。たとえば「リード」「MQL」「SQL」「商談」「顧客」といった段階を、誰が・どの条件で・次へ進めるのかを1枚の表に書きます。
この表はマーケティング部門だけで作らず、営業の責任者と一緒に埋めることが大切です。マーケティングが「商談」と呼ぶ状態と、営業が「商談」と呼ぶ状態がずれたまま稼働すると、レポートの数字を巡る議論が毎月繰り返されます。部門間の役割分担から整理したい場合は、「BtoBマーケティング支援会社の選定基準」も参考になります。
3つ目は、取引(案件)がたどるパイプラインの区切り方です。ステージを細かく分けるほど分析が精密になりそうに見えますが、入力の手間が増えると、営業はステージを更新しなくなります。
区切りの基準は、営業担当者の行動が変わる地点に置きます。初回訪問、提案書の提出、見積もりの提示、稟議中、受注・失注といった具合に、それぞれのステージで「次に何をするか」が言えるかどうかで判断します。
稟議の流れが異なる商材を扱うなら、パイプラインを商材ごとに分けるほうが、1本に詰め込むより運用しやすくなります。パイプラインの設定は、営業の責任者が最終的に承認する体制にしておくと、勝手な追加を防げます。
4つ目は、プロパティの入力形式と、流入元の記録方法です。自由記述の項目は表記ゆれを生み、後から集計できなくなります。業種、従業員規模、検討時期のように集計に使う項目は、選択式(ドロップダウン)を基本にします。
流入元は、Google広告・Meta広告・LinkedIn広告・自然検索・展示会のように媒体単位で選択肢を用意し、キャンペーン名はURLのパラメータからフォームの隠し項目に自動で入る形にします。
Meta広告のフォームから入るリードを受ける場合は、「Meta広告のインスタントフォームとリードの質を高める設計」のように、広告側の項目とHubSpot側の項目をそろえておくことが欠かせません。
対象は、株式会社Grillが広告運用とHubSpotの計測設計をあわせて支援したBtoB企業です(IT・SaaS、人材、専門サービス、2025年7月〜2026年6月、N=11社)。流入元の選択式プロパティとフォームの隠し項目を整えた結果、流入元を特定できない取引の割合は平均41%から9%に下がりました。改修から、媒体別の取引化率を比べられる状態になるまでの期間は平均5週間です。
ブラウザの計測制限で広告の成果が欠けている場合は、「サーバーサイドGTMの導入方法と移行手順」で計測の土台から見直す方法もあります。
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データの持ち方まで決まれば、総額を具体的に組み立てられます。HubSpotに払う費用は公式に公開されていますが、パートナーの費用は公開が少ないため、両者を分けて組み立てるのが確実です。
HubSpot公式の料金ページに記載された、1回限りの必須の導入支援費を一覧にします。料金ページには税込・税抜の表記がないため、契約時の見積書で確認してください。
| Hub | Starter | Professional | Enterprise |
|---|---|---|---|
| Marketing Hub | 不要 | 360,000円 | 840,000円 |
| Sales Hub | 不要 | 180,000円 | 420,000円 |
| Service Hub | 不要 | 180,000円 | 420,000円 |
| Content Hub | 料金ページに記載なし | 料金ページに記載なし | 料金ページに記載なし |
複数のHubを同時に契約する場合、それぞれの導入支援費がどう扱われるかは、構成によって変わる可能性があります。営業担当に見積もりを依頼する段階で、Hubごとの内訳を出してもらうと比較しやすくなります。
ライセンス費は、第1章の1-1と1-2の数字を別々に当てはめて計算します。Marketing Hubは月額の中にコアシートとマーケティングコンタクトの枠が含まれる形で、Sales HubとService Hubはシート数の積み上げが中心です。
たとえば、Sales Hub Professionalを営業10人で使えば、年払いの単価10,800円×10シートで月額108,000円になります。
Marketing Hubで標準の枠を超える場合の追加料金は、公式の料金ページで最新の条件を確認してから見積もりに入れます。シートとコンタクトを分けて見積もっておけば、社内の体制が変わったときも、どちらを増減すればよいかがすぐに分かります。
パートナーの料金は、作業範囲が会社ごとに違うため、見積もりで費目を分けてもらうことが欠かせません。分けてもらうべき費目は次の3つです。
総額だけの見積もりでは、どこに費用がかかっているのかが分からず、他社との比較もできません。実際、第6章で取り上げる15社の公式サイトを株式会社Grillが2026年10月に確認したところ、HubSpot支援の料金を金額で示していたのは1社だけでした(6-11のタービン・インタラクティブ)。
Marketing Hub Professionalを年払いで契約する場合の1年目を例に、総額を組み立ててみます。公式料金ページの金額を当てはめると、次のとおりです。
ここにパートナー費を足したものが、1年目の総額になります。仮に月額30万円の支援を3か月受けると90万円が加わり、合計は241万2,000円です。標準枠を超えるシートやコンタクトがあれば、その追加分も上乗せされます。
株式会社Grillの支援経験上、Sales HubやService Hubは、Marketing Hubで流入元とリードの記録が回り始めてから追加するほうが向いています。必須の導入支援を目的ごとに使い分けやすくなるためです。営業の入力ルールが固まる前にシートを増やすと、使われないシートの月額だけが積み上がります。

データの持ち方が決まったら、既存のツールから何を持ち込み、何をつなぐかを判断します。移行と連携の範囲は、第4章で見た見積もりと、第2章の期間を大きく左右します。ツールごとに判断の基準が違うため、4つに分けて整理します。
営業はSalesforce、マーケティングはHubSpotという併用は珍しくありません。ただし、HubSpotのナレッジベースによれば、標準のSalesforce連携には双方に条件があります。
| 確認項目 | HubSpotナレッジベースに記載された条件 |
|---|---|
| HubSpot側のエディション | Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Data Hub・Content Hub・Smart CRMのいずれかのProfessionalまたはEnterprise |
| Salesforce側のエディション | 「APIアクセスが可能なSalesforceエディション」またはSalesforce Professional |
| 対象外のエディション | 「Salesforce グループエディション はサポートしていません」 |
| 連携を設定する人の権限 | 「Salesforceシステム管理者である」こと、APIが有効化されたプロファイル |
HubSpotをStarterで契約する計画なら、この時点でSalesforce連携の前提が崩れます。契約前にエディションの条件を照らし合わせておけば、後からプランを上げ直す事態を避けられます。
SalesforceをやめてHubSpotに一本化する場合は、すべての履歴を持ち込もうとしないことが肝心です。判断の基準は、稼働後の営業活動や分析でその履歴を見返すかどうかにあります。移行の設計を先に固めてから、パートナーに作業を見積もってもらいます。
進行中の取引と、直近1〜2年の受注・失注の記録は移す価値があります。
一方、何年も前に担当者が退職した取引や、誰も使っていないカスタム項目まで移すと、対応づけの作業が膨らむうえ、HubSpot上の画面が使いにくくなります。古い記録はCSVで書き出して保管し、HubSpotには載せないという選択肢も検討します。
kintoneやExcel、名刺管理アプリにデータが散らばっている会社では、取り込む前の重複整理が作業の大半を占めます。同じ人物が名刺管理には役職付きで、Excelには旧姓で登録されているといった状態のまま取り込むと、HubSpot上でコンタクトが二重にできてしまいます。
整理の手順は、メールアドレスを一意のキーにして突き合わせ、会社名の表記を3-1のルールでそろえてから取り込む流れが基本です。
紙の名刺が数千枚単位で残っている場合は、取り込むツールを決める前に、配信の許諾があるかどうかの印を先に付けておくと、1-2のコンタクト数も同時に確定します。
株式会社Grillの支援経験上、移行で最も手戻りが起きやすいのは、取り込み後に「この項目は誰が更新するのか」が決まっていないケースです。取り込む前に、項目ごとの更新担当を3-2の表に書き足しておくと防げます。
会計ソフトやチャットツールとの連携は、まず既存の連携アプリで実現できないかを確かめます。第6章で紹介する支援会社の中にも、チャットや会計ソフトとの連携を標準のメニューとして掲げる会社があります。
既存アプリで足りない場合に限り、APIを使った個別開発を検討します。開発を頼むときは、不具合が起きたときの連絡先と、ソースコードの受け取りまでを契約に含めておくことが大切です(第7章で詳しく扱います)。既存アプリの設定で済めば、開発費をかけずに構築の期間も短くできます。
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ここまでで、自社がどの作業を外部に頼むのかが見えてきたはずです。この章では、依頼前の確認点とパートナーのティアの読み方を押さえたうえで、得意な作業別に16社を紹介します。
候補を絞る段階で、次の4点を質問しておくと、提案の中身を比べやすくなります。それぞれに「良い回答の例」を添えました。
4つとも具体的な案件や窓口の名前で答えられる会社は、自社の課題に近い経験を持っている可能性が高いといえます。
HubSpotの認定パートナーには、Gold・Platinum・Diamond・Eliteといったティアがあります。HubSpotの英語版の公式ページによれば、ティアは紹介した案件のポイントや、顧客の契約維持率などの実績で決まる仕組みです。
ただし、ティアはパートナーの規模や取引量を表す指標であり、自社と同じHubや移行元の経験を保証するものではありません。上位ティアの会社でも、得意分野が自社の作業と違えば、6-1の質問への回答は具体性を欠きます。MAやCRMの構築で自社と同じ課題を解いた経験があるかは、ティアとは別に確かめます。
あわせて確認したいのが、特定の作業での専門性を示すアクレディテーション(認定区分)です。HubSpotのソリューションディレクトリには、次の区分が並んでいます。
データ移行が大きい会社ならData Migration、外部連携が多い会社ならCustom Integrationの有無を確かめると、得意分野の見当が付きます。
16社の特徴を一覧にまとめます。ティアと料金は、2026年10月時点で各社の公式サイトまたはHubSpotのソリューションディレクトリに記載されていた内容です。
| 会社名 | 得意な作業 | ティアの公式表記 | 料金の公開状況 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社Grill | 流入元の計測設計・広告とHubSpotの接続 | —(記載なし) | 月額数万円〜/広告運用は手数料10%〜 | 広告・LPからのリードがどの取引になったか見えていない企業 |
| 株式会社HubOne | データ移管・外部システム連携・API開発 | ダイヤモンド | 要問い合わせ | 移行元や連携先が多い企業 |
| 株式会社ハレフル | カスタムコード開発・API連携・他社MA移行 | 記載なし | 要問い合わせ | 他社MAからの乗り換えを検討する企業 |
| 株式会社UniteX | 定着支援・個別開発(API連携・UI拡張) | Platinum | 要問い合わせ | 導入済みで使われていない企業 |
| ナウビレッジ株式会社 | ヒアリングから定着までの一貫した導入 | Diamond | 要問い合わせ | SaaS・人材・不動産などの企業 |
| 株式会社100 | CRM導入・カスタマイズ、BtoBサイト | エリート | 要問い合わせ | 営業プロセスごと見直したいBtoB企業 |
| 株式会社StartLink | 短期の本格稼働・AI連携・業務ツール連携 | Gold | 要問い合わせ | 2〜3か月で稼働させたい企業 |
| 株式会社タービン・インタラクティブ | 要件定義からデータ設計・定着まで | プラチナ | 30万円/月~程度 | 段階を踏んで進めたいBtoB企業 |
| 株式会社JBN | Content Hub(旧CMS Hub)とMarketing Hubでのサイト構築 | Platinum | 要問い合わせ | サイトごとHubSpotへ移す企業 |
| 株式会社アクセサイト | HubSpot CMS開発・導入運用支援 | Platinum | 要問い合わせ | CMSの開発品質を重視する企業 |
| リードプラス株式会社 | 導入と導入後の運用代行 | Platinum(ディレクトリ表記) | 要問い合わせ | 運用まで任せたい企業 |
| 株式会社クリエイティブホープ | 営業とマーケの連携・kintone・freee連携 | 記載なし(業界特化バッジ) | 要問い合わせ | 不動産・製造業の企業 |
| デジマール株式会社 | CRMセットアップと広告運用の統合 | 記載なし | 要問い合わせ | 広告とCRMを1社に任せたい企業 |
| 株式会社アドリージョン | Starter導入支援とGoogle広告の同時運用 | Solutions Provider | 要問い合わせ(オプションは見積もり) | スタートアップ・小規模チーム |
| 株式会社Respectify | Content HubでのサイトやLP構築・AI活用 | 記載なし | 都度見積もり | サイトとHubSpotを同時に整えたい企業 |
| 株式会社シーラベル | BtoBの戦略設計と活用支援 | 認定パートナー | 要問い合わせ | 戦略設計から伴走を受けたいBtoB企業 |

【集客側から見たHubSpotの設計を担う、広告運用とLP改善のプロ】
株式会社Grillが担うのは、HubSpot導入支援のうち「集客側から見た設計」の部分です。流入元を記録する選択式プロパティとURLパラメータの命名ルール、フォームの隠し項目と広告計測の接続を、広告運用の実務から逆算して組み立てます。
営業と合意したライフサイクルステージの定義や、媒体別の取引化率を並べるダッシュボードの設定も受け持ちます。一方で、Data Hubを使った大規模なデータ統合やAPI開発、数万件規模のデータ移行は、HubSpotの認定パートナーと分担する前提で進めます。
強みは、HubSpot上の取引化率を見ながら広告の予算配分を組み替える、高速なPDCAです。第3章で紹介した11社の事例のように流入元を特定できる状態を整えたあとは、媒体ごとの取引化率の差を根拠に、出稿の比重を月の途中でも見直します。
レポートの集計をAI・自動化ツールで効率化しているため、広告運用は最低出稿10万円〜・手数料10%〜と、業界で標準的な20%の半額水準で依頼できます。
さらに、取引化率の低いLPの改善や広告クリエイティブの制作、リードを増やすためのSEO記事の制作も同じチームで対応できます。HubSpotまわりの運用設計は月額数万円〜です。構築を担う認定パートナーがすでに決まっている場合も、広告側の窓口として初回の要件整理から参加できます。
\ 取引まで追える計測設計が可能 /
【無料】HubSpot導入支援を無料相談>| 会社名 | 株式会社Grill |
| 所在地 | 東京都渋谷区東3丁目22−14 グランファースト恵比寿 5階 |
| 公式サイト | https://grill.co.jp/ |

【移行・外部連携・API開発まで技術で引き受けるダイヤモンドパートナー】
株式会社HubOneは、公式サイトで「国内上位1%のHubSpotダイヤモンドパートナー」と紹介しているHubSpot専業の支援会社です。移行・データ移管や外部システム連携・API開発を含む6つのサービスを提供しています。
公式サイトによれば、「2023年の創業以来の ご支援社数 150 社超」の実績があります。第1章の移行元と連携先の数字がともに大きい会社なら、最初の打ち合わせから技術担当が同席するかを確かめたうえで相談したい1社です。
| 会社名 | 株式会社HubOne |
| 所在地 | 岐阜県中津川市福岡2290-25(フルリモートワーク) |
| 公式サイト | https://hubone.co.jp/ |

【カスタムコード開発と他社MAからの移行に強い技術派】
株式会社ハレフルは、「カスタムコード開発・API連携・他社MA移行など、技術力を強みとするHubSpot導入・活用支援」を掲げる会社です。標準機能では足りない処理を、コードで補う作業を得意としています。
Salesforceの初期セットアップにも対応しており、公式サイトでは「最低価格30万円から」と記載しています。HubSpotの支援料金は公開されていないため、見積もりで費目を分けてもらうとよいでしょう。
| 会社名 | 株式会社ハレフル |
| 所在地 | 東京都品川区東五反田2丁目5-2 The CASK GOTANDA 802 |
| 公式サイト | https://www.harefull.co.jp/ |

【「導入したのに使われない」をなくす定着と個別開発のプロ】
株式会社UniteXは、2026年7月15日付でHubSpotのプラチナパートナーに認定されたと公式サイトで告知しています。「『導入したのに使われない』をゼロにする」を掲げ、定着までを重視した支援を行っています。
公式サイトでは「250社以上の導入推進経験(HubSpot在籍時を含む)」を示し、API連携やUI拡張といったHubSpotの個別開発にも対応しています。導入済みのポータルを立て直したい企業に向いています。
| 会社名 | 株式会社UniteX |
| 所在地 | 沖縄県那覇市久茂地3丁目26-32 YSCビル 202 |
| 公式サイト | https://www.unite-x.co.jp/ |

【ヒアリングから定着まで工程を明示するDiamond Partner】
ナウビレッジ株式会社は、「HubSpot社の認定Diamond Partnerです」と公式サイトで明記しています。ヒアリング、プランニング、設計・構築、データ移行・システム連携、テスト、研修会、定着・運用サポートという工程を公開しており、進め方を事前に把握しやすい会社です。
期間は「1~6ヶ月を目安」としています。マーケティング支援は「400社以上」(2025年12月時点)で、SaaS・人材・不動産・ECなどの業種に対応しています。公式サイトには「HubSpotのライセンス費用は当社のサービス費用に含まれておりません」と明記されています。
| 会社名 | ナウビレッジ株式会社 |
| 所在地 | 東京都港区新橋三丁目3番13号 Tsao Hibiya 10階 |
| 公式サイト | https://now-village.jp/ |

【営業プロセスの設計とCRMのカスタマイズに強いエリートパートナー】
株式会社100は、「HubSpot認定エリートパートナー」を公式サイトで掲げる支援会社です。CRMの導入とカスタマイズに加え、BtoB向けのサイトテンプレートも提供しています。
品質マネジメントの国際規格であるISO9001:2015を取得している点も、公式サイトで示されています。営業とマーケティングのプロセスをまとめて見直したいBtoB企業が相談しやすい会社です。
| 会社名 | 株式会社100 |
| 所在地 | 東京都世田谷区代沢5丁目31番8号 No.R下北沢 3F |
| 公式サイト | https://hubspot.100inc.co.jp/ |

【約2〜3か月での本格稼働とAI連携を打ち出すGold Partner】
株式会社StartLinkは、「HubSpot Gold Partner」として「150社以上のHubSpot支援実績」を公式サイトに掲げています。「約2〜3ヶ月で本格稼働」を目安として示しており、短期間で使い始めたい企業に向いています。
BreezeやChatGPT・Claudeとの連携、Slack・Notion・freeeとの連携もメニューにあります。第9章で扱うAIの段取りまで含めて相談したい場合に、6-1の質問をぶつけてみる価値があります。
| 会社名 | 株式会社StartLink |
| 所在地 | 東京都中央区銀座1丁目12番4号 N&E BLD.6F |
| 公式サイト | https://start-link.jp/ |

【要件定義から定着まで段階を踏むプラチナパートナー】
株式会社タービン・インタラクティブは、「HubSpot認定のプラチナパートナー」です。要件定義、現状分析、ツール導入、データ設計・実装、定着支援、担当者へのフォローという工程を公式サイトで示しています。
実施期間は「一般的には2ヶ月から6ヶ月」で、料金は「30万円/月~程度が料金の目安」と公開しています。第4章の総額の試算に当てはめやすく、費用感を事前に把握したうえで段階的に進められます。
| 会社名 | 株式会社タービン・インタラクティブ |
| 所在地 | 東京都品川区西五反田3-6-20 いちご西五反田ビル2F |
| 公式サイト | https://www.turbine.co.jp/ |

【Web制作20年以上の経験でContent Hub(旧CMS Hub)とMarketing Hubを組み合わせる】
株式会社JBNは、HubSpotのPlatinum Partnerです。公式サイトでは「当社はWebサイトの制作会社としても20年以上の実績があります」と紹介しています。同社が「CMS Hub」と呼ぶ現在のContent HubとMarketing Hubによるサイト構築も提供しています。
東京と長野に拠点を持ち、導入から構築、運用までを一貫して支援しています。第1章の1-5で、WebサイトをHubSpotに載せると決めた会社が最初に話を聞きたい相手です。
| 会社名 | 株式会社JBN |
| 所在地 | 東京都新宿区矢来町50-2(ほか長野オフィス) |
| 公式サイト | https://www.jbnet.jp/ |

【HubSpot CMSの開発と導入・運用を両輪で支えるPlatinumパートナー】
株式会社アクセサイトは、Platinumパートナーへの昇格を公式サイトで告知している会社です。HubSpot CMSの開発と、HubSpotの導入・運用支援を主なサービスとしています。
HubSpotのソリューションディレクトリでは、評価5.0(13件のレビュー)が表示されています。CMSで作り直すページ数が多い場合は、開発の進め方を具体的に聞いておきたい会社です。
| 会社名 | 株式会社アクセサイト |
| 所在地 | 東京都港区三田3-9-11 RandL TAKANAWA GATEWAY 503 |
| 公式サイト | https://www.accesight.com/ |

【CRM・MA・CMSの導入から運用代行までを担う】
リードプラス株式会社は、「CRM、MA、CMSなどの機能を提供するHubSpotの導入と導入後の運用を代行・支援する」サービスを公式サイトで紹介しています。HubSpotのソリューションディレクトリでは、Platinum Solutions Partnerとして掲載されています。
社内に専任の担当者を置けず、導入後の運用まで外部の体制に頼りたい場合の選択肢になります。
| 会社名 | リードプラス株式会社 |
| 所在地 | 東京都世田谷区若林1-18-10 京阪世田谷ビル6階 |
| 公式サイト | https://www.leadplus.co.jp/ |

【不動産・製造業の業界特化バッジを持ち、営業とマーケの分断を解消】
株式会社クリエイティブホープは、公式サイトで「営業とマーケティングの分断を解消」することを掲げています。不動産と製造業の業界特化バッジを表示しており、業界の商習慣に合わせた設計を相談しやすい会社です。
kintoneやfreeeとの連携にも対応しており、既存の業務アプリを残したままHubSpotを加える構成も相談できます。
| 会社名 | 株式会社クリエイティブホープ |
| 所在地 | 東京都新宿区西新宿7-22-45 KDX西新宿ビル4F |
| 公式サイト | https://www.creativehope.co.jp/ja/ |

【CRMのセットアップと広告運用を統合して管理】
デジマール株式会社は、CRMの初期設定からメール配信、LPの設計、レポーティングまでをHubSpot支援の範囲として公式サイトで示しています。
広告運用とあわせて統合的に管理できる点が特徴で、24業種以上での対応実績を公式サイトに掲げています。広告とCRMの窓口を1社にまとめると、媒体とHubSpotの数字の食い違いを1か所で話し合えます。
| 会社名 | デジマール株式会社 |
| 所在地 | 東京都品川区東五反田2-5-9 CIRCLES with 島津山6F |
| 公式サイト | https://digimarl.com/ |

【Starterの導入支援とGoogle広告の運用を同時に頼める】
株式会社アドリージョンは、「当社は、HubSpot公式のSolutions Providerです」と公式サイトで示している会社です。個人から小規模チームまでのスタートアップを対象に、Starterの導入支援を提供しています。
「Google広告の運用代行とHubSpotの導入支援を同時に行える」点が特徴です。追加オプションは要望に応じて見積もる形のため、第2章の2-3で紹介したStarterから小さく始める頼み方に合います。
| 会社名 | 株式会社アドリージョン |
| 所在地 | 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目4番4号 アクア堂島フォンターナ3階 |
| 公式サイト | https://adregion.co.jp/ |

【Content HubでのサイトやLP構築からAI活用まで】
株式会社Respectifyは、Content Hubを活用したサイトやLPの構築、Marketing Hub、Sales Hub、AI Enablementを支援メニューとしています。料金は「内容・範囲により都度お見積もり」と公式サイトに記載しています。
サイトの制作とHubSpotの導入を同時に進める場合や、AI機能の活用まで一度に相談したい場合に検討したい会社です。
| 会社名 | 株式会社Respectify |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋人形町2-21-1 FSビル5F |
| 公式サイト | https://www.respectify-inc.jp/ |

【BtoBの営業・マーケティングのプロが戦略設計から伴走】
株式会社シーラベルは、「HubSpot Solution Partner プログラム認定パートナー」としてHubSpotの導入支援を提供しています。公式サイトでは「BtoB業界の営業・マーケティングのプロが戦略設計・運用を伴走します」と紹介しています。
料金は要問い合わせです。営業とマーケティングのプロセスを見直しながらHubSpotを活用したい場合に、戦略の段階から相談しやすい会社です。
| 会社名 | 株式会社シーラベル |
| 所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区栄町5-1 横浜クリエーションスクエア 14階 |
| 公式サイト | https://marketing.clabel.jp/hubspot/ |

依頼先を選ぶときは、始め方と同じくらい、支援が終わる日のことを決めておく必要があります。契約の満了、担当者の交代、パートナーの変更のどれが起きても困らないよう、契約前に「終了時に受け取るもの」を4つ決めておきます。
まず確認したいのは、HubSpotのポータルで最も強い権限であるスーパー管理者を、自社の社員が持っているかどうかです。構築の都合でパートナーだけが管理者になっていると、契約が終わった後にユーザーの追加すら自社でできなくなります。
HubSpotとのライセンス契約の名義と請求先が自社になっているかも、あわせて確かめます。パートナーの担当者には必要な範囲の権限だけを付与し、終了日に外せる状態にしておくのが安全です。
2つ目は、作ったプロパティとワークフローを説明する資料です。項目名と選択肢を並べるだけでなく、「その項目を誰が、何のために更新するか」まで書かれているかを確認します。
ワークフローの一覧には、起動の条件、実行する処理、止めてよいかどうかの判断材料を残してもらいます。理由が書かれていない自動化は、後任者が怖くて触れなくなり、使われない設定として残り続けます。誰がどのワークフローの設計を変えてよいかも、あわせて決めておきます。
3つ目は、外部連携やカスタマイズで書かれたコードの扱いです。ソースコードの保管場所と、動かすために必要な認証情報の管理者を、契約書か納品書に明記してもらいます。外部連携の構築を担った会社が去った後も、自社で状況を説明できる状態が目安です。
あわせて、連携が止まったときに誰へ連絡するかも決めます。契約終了後もスポットで保守を頼めるのか、別の会社に引き継げる状態で渡してもらえるのかを、着手前に聞いておくと安心です。
4つ目は、社内のユーザー向けに行った研修の記録です。録画や操作マニュアルが残っていれば、異動や入社で担当者が替わっても、同じ水準で使い始められます。
将来的に内製化を目指すなら、パートナーに任せていた作業を社内のどの役割へ移すかの手順も残してもらいます。HubSpotを運用する社内の体制が固まっていない場合は、この手順書が役割分担を決めるたたき台になります。広告運用も含めて社内に戻す範囲を考える場合は、「広告運用を内製化するには?作業内容別で決める進め方」の考え方が応用できます。
契約前に、次の4点を受け取り物として合意しておきます。
| 受け取るもの | 合意しておく内容 | 確認のタイミング |
|---|---|---|
| スーパー管理者・契約名義 | 自社社員が管理者、ライセンス契約は自社名義 | 契約時 |
| プロパティ定義表・ワークフロー一覧 | 更新者と目的、停止の判断材料まで記載 | 稼働前の受け入れ時 |
| コードと連絡先 | ソースの保管場所、認証情報の管理者、保守の窓口 | 連携の検収時 |
| 研修記録・移行手順 | 録画やマニュアル、社内へ移す作業の手順 | 支援の終了月 |
\ HubSpot導入設計の実績が豊富 /
【無料】HubSpot導入支援を無料相談>
ここからは、導入支援を検討する段階で寄せられやすい疑問を6つ取り上げます。いずれも、ここまでの章の判断基準に当てはめると答えが見えてきます。
HubSpot公式の料金ページでは、必須の導入支援費がMarketing Hub・Sales Hub・Service Hubのエディションごとに記載されています(第4章4-1の表)。一方、公式の導入支援ページには、Hubごとのメニューと並んで「Customer Platform導入支援」も掲載されています。
複数のHubをまとめて契約したときに、どのメニューが適用され、費用がどう計算されるかは、料金ページだけでは判断できません。Hubを2つ以上検討しているなら、見積もりの段階でHubSpotの営業担当にHubごとの内訳を出してもらい、合計額と比べておくと安心です。
作り直しになるかどうかは、それまでに作ったプロパティと取り込んだデータの状態で決まります。HubSpotの公式サイトでは、Smart CRMについて「完全に無料でご利用いただけます」と案内しており、無料のまま試してから有料版を検討する会社は珍しくありません。
問題になりやすいのは、自由記述のプロパティが増えていたり、同じ会社が何件も重複していたりするケースです。導入支援を頼む前に、第3章の4つの決めごとに沿って現状を棚卸ししてもらうと、残すものと直すものを切り分けられます。
置き換えるかどうかは、今のフォームが広告の成果計測とどうつながっているかで判断します。株式会社Grillの支援経験上、HubSpotのフォームに統一するとコンタクトの登録までは簡単になる一方、既存のフォームに結び付けていた広告のコンバージョン計測が途切れるケースがあります。
置き換える場合は、切り替え前後の1〜2週間で、広告の管理画面とHubSpotの登録件数が一致するかを確かめます。件数がずれたまま運用を始めると、どの媒体の成果が本当に高いのかを判断できなくなります。
両者が受け持つ作業を分ければ、二重払いにはなりません。公式の導入支援は、HubSpotの説明によれば「お客さまのニーズに合わせた専用の導入支援プラン」に沿って進むものです。パートナーには、その外側にある移行・連携・CMS構築など自社固有の作業を頼む分担が一般的です。
なお、パートナー経由で契約すれば必須の導入支援費が免除されるといった扱いは、HubSpot公式の料金ページでは確認できません。気になる場合は、見積もりの段階でパートナーとHubSpotの営業担当の双方に確かめておくと確実です。
Content Hubの公式料金ページには「ウェブサイト移行サービス」への言及があり、公式の導入支援ページにも「ウェブサイト導入支援」が並んでいます。ただし、どのページ数やデザイン作業までが含まれるかは、公開情報からは読み取れません。
実務では、HubSpot側の支援で仕組みと操作を固め、デザインの作り直しや原稿の書き換えはWeb制作に強いパートナーに頼む分け方が考えられます。第1章の1-5で数えたページ数を両者に示し、受け持ちの境目を見積もりの段階で文章にしてもらうと、作業の抜けを防げます。
基準は、HubSpot上で記録や設定を「作る人」か、「見るだけの人」かです。商談を更新する営業や、メールを作るマーケティング担当には有料シートが必要になる一方、経営層のようにダッシュボードを確認するだけの人は、別の扱いで足りる場合があります。
見るだけの人にどの権限を割り当てられるかはエディションによって条件が異なるため、公式の料金ページで最新の内容を確認してから人数を確定させます。第1章の1-1で書き出した名前の一覧に、「作る」「見る」の印を付けておくと、見積もりの精度が上がります。

HubSpotのAI機能であるBreezeは、導入支援の打ち合わせでも話題に上るようになりました。MAやCRMの自動化とAIをどう組み合わせるかは、導入の早い段階で方針を決めておくと迷いません。稼働初日から使うかどうかは、AIに読ませるデータがそろっているかで判断します。
HubSpotのAI機能のページによれば、「Agent Hubは、すべてのStarter、Professional、Enterpriseエディションに含まれています」。無料版は対象に挙がっていませんが、Starter以上の有料版を契約した時点で、AIエージェントを管理する仕組みは手元にあるということです。
導入初期に試すなら、メール文面の下書きや問い合わせ内容の要約など、結果を人が確認してから使う作業が向いています。顧客への自動返信のように、誤りがそのまま外部に出る使い方は、データと運用ルールが固まってからに回します。
株式会社Grillの運用経験上、AIの下書きは製品名や料金の数字を取り違えることがあります。導入初期は「AIが作った文面は担当者が数字と固有名詞を確認してから送る」というルールを、ワークフローの承認ステップとして設定しておくと安全です。
同じ公式ページには、「エージェント作成ツールで構築したカスタムエージェントのご利用には、HubSpotクレジットが必要です」とあります。購入方法は、「パック単位で事前購入することも、利用に応じて都度課金で購入することもできます」と説明されています。
導入支援の段階で決めておきたいのは、クレジットを購入する判断者と、使用量を確認する担当者です。誰でも自由にエージェントを作れる状態にすると、想定外の費用が発生しやすくなります。AIの活用範囲を広げるときも、この担当者が判断の窓口になります。
Breezeについて、公式ページは「CRMデータと業務プロセスを基に構築してくれます」と説明しています。つまり、AIの出力の質は、HubSpotに入っているデータの質に左右されます。
第3章で決めた選択式のプロパティや、営業の行動で区切ったパイプラインが整っていれば、AIが参照する情報も揃います。逆に、自由記述と重複だらけのデータでは、どれほど高機能なAIでも役に立つ答えは返ってきません。AIを活用する前提なら、導入支援の段階でプロパティの設計を詰めておくことが、遠回りに見えて近道になります。
AIの設定をパートナーに頼む場合は、Breezeの機能設定だけなのか、外部の生成AIとの連携まで含むのかを確認します。第6章で紹介した会社の中にも、Breezeや外部の生成AIとの連携、AI活用の定着支援をメニューに挙げる会社があります。
外部の生成AIとつなぐ場合は、どの顧客データをAIに渡してよいかという社内ルールも同時に決める必要があります。設定の作業より先に、情報の取り扱いを判断する担当者を決めておくことが大切です。顧客の個人情報をどこまで扱えるかは、社内の規程を管理する部門にも確認しておきます。
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5つの数字は、一度書き出せば終わりではありません。広告を増やせばマーケティングコンタクトが、営業を増やせばシート数が動き、そのたびにHubSpotの月額と頼むべき範囲が変わります。
最初の1枚は、各部署に人数と件数を聞いて回る数日で作れます。この表がないまま打ち合わせに臨むと、公式の担当者にもパートナーにも、同じ説明を一から繰り返すことになります。
HubSpot導入支援で外部に任せられるのは作業であって、何を頼むかの判断ではありません。
数字で頼み方を選び、データの持ち方を決め、終了日に受け取るものを契約に書く。この3つを自社で握っておけば、公式の導入支援もパートナーへの支払いも、社内の運用に残る投資になります。
広告側の成果がどこまで計測できているか不安な場合は、「SNS広告の効果測定で失敗しないための4ステップ」で計測の抜けを先に点検しておくと、HubSpotに流れ込む数字も信頼できるものになります。
第1章の2つ目の数字であるマーケティングコンタクト数は、広告を出すほど増え、Marketing Hubのプランを押し上げます。ところが、その中に取引まで進む相手がどれだけいるかを、契約の時点で把握している会社は多くありません。
株式会社Grillは、広告媒体やキャンペーンごとに、HubSpotに入ったリードのうち何件が取引になったかを集計します。そのうえで、メールを送り続ける価値のある相手と、配信対象から外してよい相手の線を引くところから関わります。
線が引けると、取引につながる層を多く連れてくる広告に予算を寄せられ、契約するコンタクトの枠も実態に合わせて見直せます。広告の配分とHubSpotの契約枠を別々の担当が決めていると、この2つは連動しません。
Grillは広告運用の担当と同じチームでHubSpotの数字を読むため、配信を変えた結果を翌週の集計で確かめ、次の配分にすぐ反映できます。
Breezeに読ませるプロパティを整える作業も、同じ集計の延長で進められます。御社がいま何件のコンタクトで契約しているか、あるいは何件で契約しようとしているかを伺えれば、その中で取引に届いている割合の見立てから話を始められます。
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