ステマ規制とインフルエンサーの違反事例!見落としやすい投稿の転載とPR表記の正しい書き方

ステマ規制とインフルエンサーの違反事例!見落としやすい投稿の転載とPR表記の正しい書き方

2024年8月、chocoZAPを運営するRIZAP株式会社が消費者庁から措置命令を受けました。問題になった自社サイトの口コミ欄には、インフルエンサーの投稿を抜粋した画像と一緒に「※個人の感想です。」という注記が添えられていました。

注記があっても、同社が対価を払って依頼した投稿であることが書かれていなかったため、ステマ規制に該当すると判断されています。

ステマ規制の対象は広告主であり、依頼を受けたインフルエンサー本人は処分の対象になりません。そのため「インフルエンサーに#PRを付けてもらえば大丈夫」と考えがちですが、公表された事例をたどると、違反はインフルエンサーの投稿画面の外、つまり企業側が投稿を二次利用する場面に集中しています。

株式会社GrillがSNS広告やLP制作の相談を受ける際も、転載素材のPR表記は最も抜けやすい確認項目の1つです。

ここでは、2023年10月に始まったステマ規制の要件と実際の措置命令を押さえたうえで、インフルエンサー施策を「依頼・投稿・動画・二次利用・契約終了後」の5つの接点に分解しました。PR表記の書き方、契約書に入れる条項、線引きに迷うケースまで順に確認すれば、次の案件で自社がどこを直せばよいかがはっきりします。

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目次

第1章 ステマ規制で処分されるのは広告主|インフルエンサーが規制対象外でも投稿が問われる理由

第1章 ステマ規制で処分されるのは広告主|インフルエンサーが規制対象外でも投稿が問われる理由

最初に、ステマ規制が「誰の・どんな表示」を対象にしているのかを整理します。インフルエンサー本人が規制対象外であるにもかかわらず、企業とインフルエンサーの双方がルールを知っておくべき理由もあわせて確認しましょう。

1-1. 規制対象は表示内容の決定に関与した事業者|消費者庁が示すインフルエンサーの位置づけ

消費者庁の公式ページは、景品表示法のステマ規制の対象を「商品・サービスを供給する事業者(広告主)」と明記しています。同じページで「企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません」とも示されています。

つまり措置命令を受けるのは、インフルエンサーに依頼した企業側です。消費者庁のQ&Aでは、アフィリエイターも同様に対象外とされています。例外は、インフルエンサー自身が広告主と共同で商品を供給している場合で、このときは本人も事業者として扱われます。

1-2. 2023年10月1日施行のステマ告示とは|景品表示法が求める2つの要件

ステマ規制の正式な名称は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」という告示です。景品表示法の不当表示の1つとして指定され、2023年10月1日に施行されました。

違反になるのは、次の2つを両方満たす場合です。

  • 要件1:事業者の表示であること ── 見た目は第三者の投稿でも、事業者が表示内容の決定に関与している
  • 要件2:一般消費者が判別しにくいこと ── 広告であることが明示されておらず、消費者に分からない

消費者庁の運用基準は、規制の趣旨を「広告と分かれば人は誇張を割り引いて受け取るが、第三者の感想だと思うと割り引かない」という点に置いています。インフルエンサーの投稿が狙われやすいのは、この「第三者の感想らしさ」が最も強い表示だからです。

1-3. インフルエンサー本人も無関係ではない3つの理由|契約・プラットフォーム規約・他の法律

処分の対象外であっても、インフルエンサーがステマ規制を知らずに済むわけではありません。理由は3つあります。

  1. 契約上の責任を負う: 広告主はPR表記を契約条件に入れるのが一般的です。表記を外して投稿すれば、契約違反として報酬の減額や案件の打ち切りにつながります
  2. プラットフォームの規約がある: YouTubeの公式ヘルプは、クリエイターとブランドパートナーの双方に、有料プロモーションの開示に関する法的義務を理解し遵守する責任があると明記しています
  3. 本人に及ぶ法律がある: 化粧品や健康食品の虚偽・誇大な広告を禁じる薬機法第66条は、主語を「何人も」としています。景品表示法の対象外でも、表現の内容しだいでインフルエンサー本人が責任を問われます

化粧品や美容医療の案件では、ステマ規制と薬機法を同時に確認する体制が欠かせません。

業界の表現規制に慣れた依頼先を探している場合は、「美容業界に強い広告代理店おすすめ11選|費用相場・薬機法対応と選び方」で比較のポイントを確認できます。

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第2章 措置命令の事例に見るステマ規制とインフルエンサー投稿の落とし穴|違反の多くは転載で起きている

第2章 措置命令の事例に見るステマ規制とインフルエンサー投稿の落とし穴|違反の多くは転載で起きている

ここからは、消費者庁が公表した措置命令のうち、口コミやインフルエンサーの投稿が関わった事例を時系列で見ていきます。どの事例も、投稿を依頼した後の「使い方」に注目すると共通点が浮かび上がります。

2-1. 医療法人社団祐真会|口コミの★5投稿を条件にした割引が初の措置命令に

ステマ規制に基づく最初の措置命令は、2024年6月に医療法人社団祐真会へ出されました。同法人のクリニックは、インフルエンザワクチンの接種に来た人に対し、Googleマップの口コミ欄へ★5の評価を投稿することを条件に接種費用を割り引いていました。

インフルエンサーの事例ではありませんが、「評価の内容を条件にした提供」が事業者の表示になるという判断は、ギフティングにもそのまま当てはまります。

口コミの集め方で規約違反を招く別のパターンは、「MEOペナルティの原因8選と回復手順」でも整理しています。

2-2. RIZAP・大正製薬|依頼した投稿を自社サイトに抜粋し「※個人の感想です。」でも違反

2024年8月のRIZAP株式会社の事例では、対価を条件にInstagramへの投稿を依頼し、その投稿を自社サイトの「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」という欄に抜粋していました。注記の「※個人の感想です。」は、依頼した投稿であることを示す明示とは認められていません。

2024年11月には大正製薬株式会社が、サプリメント「NMN taisho」で措置命令を受けています。商品の無償提供と対価の提供を条件にInstagramへの投稿を依頼し、その一部を自社のオンラインショップに「Instagramで注目度上昇中」などと掲載していました。

どちらも、投稿自体ではなく自社サイトへの転載部分が問題とされた点が共通しています。

2-3. ロート製薬・高光製薬|モニター募集で集めたSNS投稿をLPやECモールに掲載

2025年3月のロート製薬株式会社の事例では、モニター募集サイトを通じて商品を無償で提供し、同社が指示する方針に沿った投稿を依頼していました。集まった投稿の画像は、自社サイトに「“わたしも”使っています from Instagram」という見出しで掲載されています。

2026年6月には、高光製薬株式会社が「ノビルン」「ノビルンC」で措置命令を受けました。業界紙の報道によれば、募集した第三者に商品を無償提供してSNSへの投稿を依頼し、その画像を自社サイトや楽天市場・Yahoo!ショッピングの自社ストアに「SNSでも大人気!」とPR表記なしで載せていたとされています。

2-4. 事例から見える共通点|ステマ規制の違反はインフルエンサーの投稿画面の外で起きる

2-2と2-3の4社を並べると、違反と判断された表示の大半が、広告主自身のWebサイトやECモールの商品ページにありました。SNS上の元投稿にPR表記があったかどうかにかかわらず、転載した時点で「広告であること」の表示が落ちていれば、それは広告主の新しい表示として問われます。

株式会社Grillの実務でも、インフルエンサー施策の担当者とLP・EC担当者が別の部署に分かれている企業ほど、この抜け漏れが起きやすい傾向があります。投稿時のチェックだけでなく、転載先ごとに誰が表記を確認するかを決めておくことが、事例から得られる最も実践的な教訓です。

第3章 依頼が「事業者の表示」になる4つの判断要素|インフルエンサーのギフティングとステマ規制

第3章 依頼が「事業者の表示」になる4つの判断要素|インフルエンサーのギフティングとステマ規制

インフルエンサーの投稿が広告主の表示と判断されるかどうかは、契約書の有無だけでは決まりません。消費者庁の運用基準は、明示的な依頼がなくても「第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性」があれば事業者の表示になるとし、次の要素を総合的に考慮するとしています。

3-1. やり取りの内容|インフルエンサーへの依頼メールや送付状の一文が判断材料になる

運用基準は判断材料として、事業者と第三者の「具体的なやり取りの態様や内容」を挙げ、例としてメール、口頭、送付状を示しています。ギフティングで商品を送るだけのつもりでも、同封した手紙に「投稿の際はこの成分に触れてください」と書けば、内容に関与したことになります。

SNSへの投稿を条件にしていないか、訴求点を指定していないかは、担当者の口頭のやり取りまで含めて確認する必要があります。DMや電話で伝えた一言も、後から判断材料になりうると考えておきましょう。

3-2. 対価の内容|金銭だけでなく商品提供やイベント招待も含まれる

運用基準の注記では、対価には「金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)」まで含まれるとされています。報酬ゼロのギフティングでも、商品そのものが対価として扱われる可能性があります。

発表会への招待、施術や宿泊の無償体験、次回案件の約束なども同じです。運用基準は、今後の取引を言外に感じさせて投稿を促すケースも事業者の表示の例として挙げています。

3-3. 提供の理由と関係性の継続|アンバサダー契約や過去の案件も考慮される

3つ目の要素は、対価を提供した主な理由が宣伝目的かどうかです。4つ目は、過去にどの程度対価を払ってきたか、今後も続く見込みがあるかという関係性の状況です。

アンバサダーのように継続契約を結んでいる相手は、個別の投稿に指示を出していなくても、関係性の強さから事業者の表示と判断されやすくなります。契約期間中の投稿は、原則としてすべてPR表記の対象と考えるのが安全です。

3-4. ステマ規制の対象外になるインフルエンサー投稿|自主購入・キャンペーン応募・恣意性のない引用

一方で、事業者が関わっていても事業者の表示にならないケースもあります。消費者庁の運用基準とQ&Aの記載を、施策の場面ごとに整理しました。

場面判断の目安根拠
報酬を払い、内容の指示なく感想投稿を依頼事業者の表示に当たる可能性が高いQ&A
商品を無償提供し、投稿と訴求点を依頼事業者の表示に当たる運用基準
商品を無償提供し投稿を依頼したが、内容は本人の自主的な意思当たらない場合がある運用基準
過去の案件先の別商品を、本人が自費で購入し自主的に投稿当たらない(PR表記は不要)Q&A
キャンペーン応募のため、本人の自由な内容で投稿当たらない運用基準
キャンペーンで「ダイエット向け」等の特定ハッシュタグ付与を条件にする事業者の表示に当たるQ&A
口コミ投稿を条件に割引(評価の内容は指定しない)当たらないQ&A
★5をつけることを条件に割引事業者の表示に当たるQ&A

表のとおり、分かれ目は「投稿の中身を広告主が決められる状態にあるか」です。無償提供や割引そのものではなく、内容への指示と、指示が通る関係性の有無を見ると判断しやすくなります。

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第4章 依頼から契約終了後までのステマ規制リスク|インフルエンサー施策の5つの接点

第4章 依頼から契約終了後までのステマ規制リスク|インフルエンサー施策の5つの接点

第2章の事例が示すとおり、表記の抜けは投稿の瞬間だけで起きるわけではありません。インフルエンサー施策を時間の流れで5つの接点に分け、それぞれで起きやすい抜け漏れと、事前に決めておくことを整理します。

接点起きやすい抜け漏れ確認の担当
1. 依頼訴求点やハッシュタグを指定したのに、広告として扱っていないマーケティング担当
2. 投稿PR表記の位置と見え方がインフルエンサー任せ担当者とインフルエンサー
3. 動画・ライブ配信冒頭だけに表示し、途中から見る人に伝わらない担当者
4. 二次利用LP・ECモール・広告への転載で表記が消えるLP・EC担当、広告代理店
5. 契約終了後過去の依頼投稿や転載素材が表記のまま残る法務、担当者

4-1. 接点1「依頼」|訴求ワードやハッシュタグの指定で広告扱いが確定する

投稿内容を指定した時点で、第3章の判断要素のうち「やり取りの内容」が満たされ、事業者の表示になることがほぼ確定します。消費者庁のQ&Aは、SNSキャンペーンで「ダイエット向け」のような特定のハッシュタグを条件にしただけでも、事業者の表示に当たるとしています。

報酬のないギフティングでも、依頼の段階で「この案件は広告として扱うか」を先に決め、広告として扱うならPR表記を依頼条件に含める、という順番で進めましょう。判断を投稿後に回すと、表記のない投稿がすでに公開された状態で修正を頼むことになります。

4-2. 接点2「投稿」|PR表記の位置がインフルエンサー任せになっている

「#PRを付けてください」と伝えただけでは、表記の位置や見え方は本人の判断に委ねられます。キャプションの末尾や、10個以上並んだハッシュタグの中に紛れると、運用基準がNG例として挙げる「大量のハッシュタグに埋もれさせる」表示に近づきます。

文言だけでなく「キャプションの1行目に置く」「画像の中にも入れる」「タイアップ投稿ラベルを付ける」まで指定すると、投稿前の確認が一度で済みます。インフルエンサー側も迷わずに済むため、修正の往復が減ります。

4-3. 接点3「動画・ライブ配信」|冒頭だけの表示では途中から見る人に届かない

消費者庁のQ&Aは、動画の冒頭だけに「広告」と表示する方法について、途中から視聴する人が見逃すおそれがあると指摘しています。そのうえで、画面上に常に表示するなど、動画全体を通じて明瞭にすることが望ましいとしています。

YouTubeの有料プロモーション設定は、動画の冒頭10秒間に開示メッセージを自動で表示する仕組みです。長尺の動画やライブ配信では、この設定に加えて画面の隅に「PR」のテロップを出し続ける運用を組み合わせてください。

テロップを入れる前提で動画を設計するなら、「YouTube広告の動画制作完全ガイド!費用相場・成果が出るコツとおすすめ制作会社8選」の制作工程も参考になります。

4-4. 接点4「二次利用」|LP・ECモール・広告クリエイティブへの転載で表記が落ちる

第2章の措置命令が集中していたのが、この接点です。インフルエンサーのSNS投稿を画像として切り抜き、LPに並べると、キャプションに書かれていたPR表記は画像の外に残り、転載先には引き継がれません。

消費者庁のQ&Aでも、依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として載せる場合は、依頼関係を明瞭にする必要があるとされています。「お客様の声」という見出しのままでは、依頼した事実が明示されていないためです。

転載先では、企業側が画像のすぐ近くに「当社がインフルエンサーに依頼した投稿です」といった文言を添えるのが基本です。運用基準にも、第三者に依頼して得たコメントを編集して自社サイトに載せている旨を示す文例が掲載されています。

インフルエンサーの投稿を広告クリエイティブとして配信する場合の費用感は、「インスタ広告の費用相場と課金方式を徹底比較」で確認できます。

4-5. 接点5「契約終了後」|残り続ける過去の依頼投稿の扱いを決めていない

契約が終わっても、依頼して作られた投稿は、インフルエンサーのSNSアカウントや自社のLPに残り続けます。消費者庁のQ&Aは、2023年10月の施行前に依頼した投稿でも、施行後も表示が続いていて「広告」等の記載がなければ違反となる可能性があるとしています。

契約終了時に「元投稿のPR表記を残すか削除するか」「自社側の転載素材をいつ取り下げるか」を決め、契約書に書いておくと後から揉めません。担当者が異動しても判断できるよう、転載先のURLも一覧にして残しておきましょう。

第5章 インフルエンサー投稿のPR表記|ステマ規制でOKな文言・NGな表示8つとSNS別の開示機能

第5章 インフルエンサー投稿のPR表記|ステマ規制でOKな文言・NGな表示8つとSNS別の開示機能

接点ごとのリスクを押さえたら、次は表記そのものの書き方です。消費者庁の運用基準とQ&Aに沿って、認められる文言、避けるべき見せ方、主要SNSの開示機能の使い方を確認します。

5-1. ステマ規制で明瞭と認められる文言|「広告」「PR」と「A社から提供を受けて投稿」

運用基準が明瞭な表示の例として挙げているのは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」という文言です。「A社から商品の提供を受けて投稿している」のような文章による表示も認められています。

ただし運用基準は、これらの文言を使っていても、表示内容全体から明瞭とは認められない場合があると注記しています。株式会社Grillでは、ギフティングのように報酬のない案件でも「〇〇(ブランド名)から商品提供を受けています」と関係性まで明示する形を勧めています。

「#PR」の3文字だけより、誰との関係なのかが一目で伝わるためです。

5-2. 不明瞭と判断されやすい8つの表示|ハッシュタグ埋没・末尾・リプライ欄

運用基準とQ&Aが明瞭とはいえない例として挙げているものを、SNS投稿の場面に当てはめて8つに整理しました。

  1. 部分的な表示: 広告である旨を一部にしか示していない
  2. 矛盾する記載: 冒頭に「広告」と書きながら、文中で「第三者としての感想です」と書く
  3. 動画での短い表示: 一瞬しか映さない、長い動画の途中や末尾だけに表示する
  4. 伝わらない文言: 消費者が広告だと認識できない言葉を使う
  5. 見えにくい位置: キャプションの末尾など、目に入りにくい場所に置く
  6. 目立たない見せ方: 周囲より小さい文字や薄い色、長文の中に埋め込む
  7. ハッシュタグへの埋没: 大量のハッシュタグの中に紛れ込ませる
  8. リプライ欄だけの表示: 投稿本文ではなく、リプライ(ツリー)にだけ「広告」と書く

8つに共通しているのは、「書いてあるかどうか」ではなく「消費者が気づけるかどうか」で判断されている点です。

表記を入れたかの確認だけで終わらせず、SNSアプリをスマートフォンで開いたときに1秒で目に入るかまで確かめましょう。

5-3. Instagram・YouTube・TikTok・Xの開示機能とPR表記の組み合わせ方

主要SNSには、広告であることを示すための機能が用意されています。機能とテキスト表記の組み合わせ方を一覧にしました。

SNS使える開示機能併用したいテキスト表記
Instagramブランドコンテンツ(タイアップ投稿ラベル)キャプション1行目の「PR」と提供元の明記
YouTube有料プロモーションの設定(冒頭10秒に開示メッセージを自動表示)概要欄の冒頭の記載と、動画内のテロップ
TikTok商用コンテンツ開示設定キャプション冒頭の「PR」
X本文でのテキスト表記を基本に運用投稿本文の冒頭に「PR」「広告」

開示機能は、表示の位置や見え方を仕様でそろえられる点が利点です。一方で、ラベルの目立ち方は画面の設計変更によって変わるため、株式会社Grillではラベルとテキスト表記を二重にかける運用を標準にしています。

媒体ごとの広告メニューの違いは、「SNS広告の種類を完全ガイド!7大媒体の特徴・費用・選び方」にまとめています。

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第6章 PR表記でインフルエンサー施策の成果は落ちる?|株式会社Grillの支援データと投稿設計3つ

第6章 PR表記でインフルエンサー施策の成果は落ちる?|株式会社Grillの支援データと投稿設計3つ

「PRと書くと反応が落ちるのでは」という懸念は、ステマ規制の相談で特によく聞かれる声です。株式会社Grillが支援した案件の数値をもとに、表記と成果の関係、成果を落とさない依頼の仕方を紹介します。

6-1. PR表記を二重にしても保存率はほぼ変わらない|ラベルのみとテキスト併記の比較

株式会社Grillは、表記の方法でSNS投稿の反応が変わるかを比べました。対象はコスメ・健康食品・フィットネス業種のインフルエンサー施策(2024年10月〜2026年6月、N=42案件・Instagram投稿612件)です。

タイアップ投稿ラベルのみの投稿は保存率が平均2.4%、ラベルに加えてキャプション1行目にPRと提供元を書いた投稿は平均2.3%で、差は0.1ポイントにとどまっています。

反応を大きく分けていたのは、表記よりも投稿の中身でした。同じ42案件のうち、フォロワー層と商品カテゴリが一致していた投稿の保存率は、一致していなかった投稿の約1.8倍です。

表記を目立たなくして成果を守ろうとするより、誰に依頼するかを見直すほうが効果は大きいといえます。

6-2. 台本を渡すより要点だけを渡すほうがインフルエンサーの投稿は伸びる|依頼ブリーフの作り方

同じ期間のデータで、訴求の文言まで指定した台本型の依頼と、伝えてほしい事実と禁止表現だけを渡したブリーフ型の依頼を比べると、ブリーフ型の保存率は台本型の約1.3倍でした。台本型は複数のインフルエンサーのSNS投稿が似た言い回しになり、フォロワーに「案件らしさ」が伝わりやすくなるためと考えられます。

ブリーフに入れる項目は、次の4つに絞ると表現の自由度と法令順守を両立しやすくなります。

  • 商品の事実情報(成分・価格・販売チャネルなど、誤りがあると困るもの)
  • 薬機法などで使えない表現の一覧
  • PR表記の文言と位置
  • 投稿後に広告主が転載・広告配信する予定の有無

なお、ブリーフ型でも企業からの依頼である以上、PR表記は必要です。自由に書いてもらうのは表現であって、広告であることの表示ではありません。

6-3. 効果測定はPR投稿を前提に設計する|クーポンコードとUTMで売上への寄与を見る

PR表記を付けた投稿は、広告として正面から効果を測れるようになります。インフルエンサーごとに専用のクーポンコードやUTMパラメータ付きのリンクを発行すれば、いいねの数では見えない購入や問い合わせへの寄与を比べられます。

株式会社Grillの運用経験上、保存率が高いのに売上に届かない投稿は、プロフィールからLPまでの導線で離脱しているケースが目立ちます。

購入までの経路をどの数字で追うかは、「インスタ広告の効果測定で見るべき指標と設計手法」で具体的に解説しています。

第7章 ステマ規制に違反した企業が受ける措置|措置命令・公表・刑事罰と課徴金の扱い

第7章 ステマ規制に違反した企業が受ける措置|措置命令・公表・刑事罰と課徴金の扱い

規制の対象が広告主である以上、違反したときの負担はすべて企業に返ってきます。行政処分と刑事罰の関係、誤解されやすい課徴金の扱いを確認しましょう。

7-1. 措置命令の内容と企業名の公表|違反のおそれの段階では行政指導

消費者庁のQ&Aによると、ステマ規制に違反した事業者には措置命令が出され、誤認の排除、再発防止策の実施、違反行為の禁止などが命じられます。違反のおそれがある段階では、行政処分ではない「指導」が行われます。

措置命令は、消費者庁のWebサイトで企業名・商品名・表示内容とともに公表されます。第2章の事例も、公表資料に投稿の抜粋や見出しの文言まで記載されていました。

取引先や求職者が社名で検索したときに処分の記録が見つかり続ける点は、金銭的な負担以上に重いリスクです。

7-2. 措置命令に従わない場合の刑事罰|2年以下の拘禁刑・法人は3億円以下の罰金

景品表示法第46条は、措置命令に違反した者を「二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」に処すると定めています。法人である企業には、両罰規定によって3億円以下の罰金刑が科されます。

刑事罰は、ステマ規制の違反そのものではなく、措置命令に従わなかった場合に科されるものです。2025年6月の改正刑法の施行で懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。以前の「2年以下の懲役」という表記は、現行法では「2年以下の拘禁刑」にあたります。

7-3. 課徴金はステマ告示だけでは対象外|優良誤認と重なると課されうる

消費者庁は、課徴金納付命令の対象から「景品表示法第5条第3号に係るもの」を除くと示しています。ステマ告示はこの第5条第3号に基づく告示のため、ステマ規制の違反だけであれば、売上に応じた課徴金は課されません。

ただしQ&Aは、同じ表示が優良誤認表示などにも当たる場合は、課徴金の対象になりうるとしています。RIZAPの事例は、優良誤認とステマ告示の両方で措置命令を受けました。

インフルエンサーの投稿で効果を誇張すれば、表記の問題と表示内容の問題が同時に問われる点に注意が必要です。

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第8章 広告主とインフルエンサーで取り決めるステマ規制対策12項目|契約書・投稿前確認・記録の残し方

第8章 広告主とインフルエンサーで取り決めるステマ規制対策12項目|契約書・投稿前確認・記録の残し方

ここまでの内容を、実際の運用ルールに落とし込みます。広告主とインフルエンサーの間で決めておく項目を、契約・投稿前・投稿後の3段階に分けて12項目にまとめました。

8-1. 契約書・発注書に入れる5項目|PR表記と二次利用の範囲を文書で残す

口頭で伝えた表記ルールは、担当者が変わると引き継がれません。次の5項目は、契約書か発注書に文章で残しておきます。

  1. PR表記の文言と位置の明示(キャプション1行目、画像内、動画のテロップなど)
  2. SNSの開示機能(タイアップ投稿ラベルなど)を設定すること
  3. 投稿前に下書きを共有し、広告主が表記を確認する手順
  4. 投稿の二次利用の範囲(LP・ECモール・広告)と、転載時の表記は広告主が行うこと
  5. 契約終了後の投稿と転載素材の扱い(掲載を続ける期間、削除の要否)

8-2. 投稿前に確認する4項目|スマートフォンの画面で表記が目に入るか

下書きを受け取ったら、パソコンではなくスマートフォンで表示を確認します。消費者の多くがスマートフォンで投稿を見るためです。

  1. PR表記とタイアップ投稿ラベルが、投稿を開いた最初の画面に入っているか
  2. 表記がハッシュタグの羅列やSNSのリプライ欄に埋もれていないか
  3. 動画では、テロップや開示設定によって全体を通じて表示されているか
  4. 効果の誇張など、表示内容そのものに問題がないか

8-3. 投稿後に残す記録と見回りの3項目|関与の範囲を後から説明できる状態にする

  1. 依頼メール・ブリーフ・下書きのやり取りを案件ごとに保存する
  2. 公開されたSNS投稿のURLとスクリーンショットを取得する
  3. 転載先(LP・ECモール・広告)の一覧を作り、四半期ごとに表記を点検する

記録を残す目的は、「どこまで関与したか」を後から説明できる状態にすることです。第3章の判断要素は、やり取りの内容や対価の中身で決まるため、残した記録がそのまま判断の材料になります。

8-4. インフルエンサー施策をキャスティング会社・代理店に任せても処分を受けるのは広告主

規制の対象は、表示内容の決定に関与した広告主です。

キャスティング会社や広告代理店にインフルエンサーの選定から投稿の確認までを任せていても、措置命令を受けるのは依頼元の企業になります。

委託する場合は、代理店とインフルエンサーの間のやり取りを、広告主が受け取れる契約にしておきましょう。

SNS広告と投稿施策をまとめて任せる依頼先を比べる際は、「SNS広告の運用代行に強いおすすめ代理店20選」も参考になります。

第9章 ステマ規制とインフルエンサーの線引きで迷いやすい6つのケース

第9章 ステマ規制とインフルエンサーの線引きで迷いやすい6つのケース

PR表記が必要かどうかの判断で、特に相談が多いケースを取り上げます。いずれも消費者庁の運用基準やQ&Aで考え方が示されているものです。

9-1. 企業の社員が個人アカウントで自社商品を紹介するのは違反?

それだけで直ちに違反になるわけではありません。ただし運用基準は、販売や開発に関わる役員、管理職、担当チームの一員など、販売を促進する立場にある人の投稿は事業者の表示に当たるとしています。

Q&Aでは「私は○○社の社員です」と所属を明示するだけでは明瞭とは限らず、「広告」「PR」などの記載が望ましいとされています。

9-2. アンバサダーだった人が、別の商品を自費で買って投稿したら?

Q&Aは、過去にプロモーションを依頼した会社の別の商品を、本人が自主的に購入して投稿する場合は事業者の表示に当たらず、PR表記も不要としています。ただし契約期間中の投稿や、広告主から投稿を促すやり取りがあった場合は、第3章の関係性の考え方で判断が変わります。

9-3. PR表記をリプライ欄やプロフィールに書けば足りる?

Q&Aは、SNS投稿の本文ではなくリプライ(ツリー)に「広告」と書く方法について、消費者が記載に気づかないおそれがあり、明瞭とはいえない場合が多いとしています。プロフィール欄の記載も、個別の投稿を見た人の目には入りません。

表記は投稿ごとに本文の冒頭に置き、Instagramならタイアップ投稿ラベルも併用するのが原則です。

9-4. 口コミ投稿を条件にクーポンを出すのはステマになる?

Q&Aでは、評価の内容を指定せずに口コミやレビューの投稿を条件として割引やクーポンを出すだけなら、通常は事業者の表示に当たらないとされています。一方で、★5をつけることを条件にすれば事業者の表示になります。第2章で紹介した祐真会の事例は、この後者に当たるものでした。

9-5. 規制が始まる前(2023年9月以前)に依頼した投稿は放置してよい?

施行前に依頼したSNS投稿でも、施行後に表示が続いていて広告である旨の記載がなければ、違反となる可能性があるとQ&Aは示しています。インフルエンサーに追記を頼むときは、広告主の側から協力を求める形になります。

まず自社が過去に依頼した投稿の一覧を作り、表記のないものから順に対応を進めましょう。

9-6. すでに愛用しているインフルエンサーへのギフティングにもPR表記は必要?

運用基準は、自主的な意思に基づく表示であれば事業者の表示に当たらないとしています。Q&Aでは、無償提供の目的やその後のやり取り、取引関係を総合的に見て判断するとしたうえで、提供を受けたことを記載するのは「有益」だとしています。

送付状に投稿のお願いを書かず、送った後に投稿を催促しないことを前提に、提供を受けた旨の記載をお願いするのが現実的な運用です。

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第10章 次のインフルエンサー案件は「転載先」から逆算してステマ規制に備える

第10章 次のインフルエンサー案件は「転載先」から逆算してステマ規制に備える

措置命令の公表資料に載っていたのは、インフルエンサーの投稿画面ではなく、広告主のLPやECモールの商品ページでした。公開後の転載素材は社内で使い回されるうちに、表記が落ちたまま新しいページへ広がっていきます。

運用中のLPに第三者のSNS投稿を載せているなら、次の案件を始める前に一度洗い出しておきましょう。

ステマ規制の対象は広告主であり、判断の分かれ目は投稿内容を決められる関係性にあります。

表記は「書いたか」ではなく「気づけるか」で判断され、成果を守る鍵は表記を目立たなくすることではなく、依頼の仕方と起用する相手の選び方にありました。

10-1. 依頼書と転載先リストを1枚のシートで管理する

依頼書(ブリーフ)の横に、転載予定の媒体とURLの欄を足し、第8章の12項目をチェック欄として並べてください。

依頼・投稿・転載・契約終了の日付を案件ごとに記録しておけば、第4章の5つの接点のどこで表記が抜けたかを後から追えます。

インフルエンサーの起用をInstagram運用と一緒に外部へ任せる場合は、「インスタ運用代行のおすすめ会社26選」で依頼先の比較軸を確認できます。

インフルエンサー投稿を広告・LPに使う前の表記設計まで担う株式会社Grill

株式会社Grillは、インフルエンサーのSNS投稿を公開して終わりにせず、広告配信やLPで成果につなげるところまでを支援しています。その過程で最も時間をかけているのが、転載する素材ごとの表記の確認です。

タイアップ投稿ラベルの設定から、LPの口コミ欄に添える文言、ECモールの商品画像に入れる表記まで、転載先の仕様に合わせて設計します。

株式会社Grillは、2024年10月〜2026年6月に二次利用の前の素材を確認しています(コスメ・健康食品・フィットネス業種、N=318点)。そのうち41点(約13%)は、PR表記が抜けたまま入稿の直前まで進んでいました。

この抜けは、投稿の確認とLP制作が別々の担当に分かれているほど起きやすくなります。Grillでは投稿の確認と広告・LPの制作を同じチームが担当し、薬機法や景品表示法に沿った表現の確認も入稿前に済ませます。

表記の照合や配信レポートの定型作業にはAIツールを取り入れ、担当者の時間はブリーフの設計とクリエイティブの検証に振り向けています。

広告運用の手数料は業界標準の20%に対して10%〜、出稿は月10万円〜のため、1本のインフルエンサー投稿を広告に回す検証から始められます。

直近で依頼した投稿と、転載を予定しているLPやECの商品ページを共有いただければ、表記を足すべき箇所に印を付けてお返しします。

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この記事を書いた人
2014年オイシックス株式会社にて海外事業の中核を担ったのち、香港および中国現地法人の社長に就任。アジア市場における事業の飛躍的な拡大を牽引。2017年には株式会社Emooveを代表取締役CEOとして創業。ゼロからの事業立ち上げて急成長を実現し、事業売却(EXIT)を成功へと導く。現在は、株式会社Grillの取締役COOとして参画。これまでの経営手腕と最前線で培った知見を融合させ、様々な業界に向けて事業成長に直結するWEBマーケティング支援を強力に推進している。
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