カスタマージャーニーマップの作成手順7ステップ!離脱地点から逆算する失敗しない書き方とは?

カスタマージャーニーマップの作成手順7ステップ!離脱地点から逆算する失敗しない書き方とは?

会議室の壁に付箋が200枚並び、丸2日のワークショップを経てカスタマージャーニーマップが完成します。ところが3か月後、そのマップを開いて施策を検討する人は、社内に誰もいません。株式会社Grillが支援の初回に見せていただくマップにも、この状態で止まっているものが珍しくありません。

止まる原因は、作り方の手順よりも手前にあります。何を決めるための1枚なのかを決めないまま横軸を引き、空いた欄を担当者の想像で埋めてしまうのです。

2026年現在、GA4やGoogle Search Console、広告の検索語句レポートなど、顧客の行動を示すデータは追加費用なしで手に入ります。ユーザーの足取りを、想像ではなく記録から描ける環境はすでに整っています。

ここでは、目的の絞り方、欄を埋めるデータの集め方、7つの作成ステップ、BtoBとBtoCの記入例、施策への落とし込み、ワークショップの進め方、更新のルールまでを順にまとめました。読み終えた時点で、自社の最初の1枚に何を書けばよいかが決まる構成にしています。

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目次

第1章 カスタマージャーニーマップとは?作成前に押さえる定義と5つの構成要素

第1章 カスタマージャーニーマップとは?作成前に押さえる定義と5つの構成要素

作成の手順に入る前に、マップが何を描く図なのかと、1枚を構成する要素をそろえておきます。ここが社内でずれていると、同じ「マップ」という言葉で別のものを作り始めてしまいます。

1-1. カスタマージャーニーマップは顧客の行動と感情の移り変わりを1枚にした図

カスタマージャーニーとは、顧客が商品を知ってから購入し、使い続けるまでの道のりを旅に見立てた考え方です。その道のりを時間の流れに沿って表にしたものが、カスタマージャーニーマップです。ユーザーが何を考え、どこで迷ったのかという購買のプロセス全体を1枚で見渡せます。

マップの価値は、企業側から見えない顧客の場面を書き出せる点にあります。たとえば、広告をクリックしたあとに比較サイトで3社を見比べ、家族に相談してから問い合わせる。こうしたユーザーの寄り道は、自社サイトのデータだけを眺めていても見えてきません。

1-2. 1枚を構成する5つの要素|ペルソナ・フェーズ・行動・タッチポイント・感情

一般的なマップは、次の5つの要素で組み立てます。

  • ペルソナ:マップの主人公となる1人の顧客像。年齢や職業より、購入に至る事情を具体的に書く
  • フェーズ:横軸に並べる段階。認知・情報収集・比較検討・購入・利用・継続などに分ける
  • 行動:各フェーズでユーザーが実際に取る動き。検索する、資料を読む、上司に相談するなど
  • タッチポイント:企業と接する場所。広告、検索結果、LP、営業メール、店頭などを書く
  • 感情:その時点の気持ちと不安。「高そう」「導入の手間が読めない」など本人の言葉で書く

これに「課題」と「施策」の行を加え、縦軸を7行前後にする形がよく使われます。縦軸を増やしすぎると埋める作業そのものが目的になるため、最初は7行以内に収めるのが無難です。

1-3. ペルソナ・ファネルとの違い|カスタマージャーニーマップ作成で混同しやすい3つの図

ペルソナは「誰か」を描く人物像で、カスタマージャーニーマップは「その人がどう動くか」を描く時系列の図です。ペルソナが先にあり、マップがその次に来る関係になります。

マーケティングファネルは、認知から購入へ人数が減っていく様子を示す図です。ファネルは「何人残ったか」を、マップは「なぜ残らなかったか」を見る道具だと考えると使い分けやすくなります。サービスの裏側で動く社内の業務まで描く場合は、サービスブループリントと呼ばれる別の図になります。

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第2章 作成の目的を1つに絞る|カスタマージャーニーマップで解く問いの決め方

第2章 作成の目的を1つに絞る|カスタマージャーニーマップで解く問いの決め方

マップの出来は、横軸を引く前の「問い」でほぼ決まります。この章では、1枚で扱う目的の絞り方と、範囲の決め方を整理します。

2-1. 「顧客理解」ではなく「どの数字を動かすか」でカスタマージャーニーマップの目的を書く

「顧客理解を深める」は目的として広すぎます。この書き方だと、マップは全フェーズを均等に埋めた百科事典になり、どこから手を付けるべきかが決まりません。

目的は、動かしたい数字と期間で書きます。顧客の体験をよくしたいという思いも、数字に置き換えると議論が進みます。たとえば「資料請求から商談化までの率を、半年で20%から25%に上げる」です。数字が決まると、マップの中で厚く書くべきフェーズと、薄くてよいフェーズが分かれます。

株式会社Grillが2025年4月〜2026年3月に支援したBtoB企業(N=11社)のうち、目的を1つの数字に絞ってマップを作成した企業の結果です。作成後6か月の商談化率が平均19%から27%に改善しました。一方、目的を「顧客理解」としたまま作成した企業では、マップが施策の議論に使われた回数が月1回未満にとどまりました。

2-2. 現状のマップか理想のマップか|作成前に関係者で決める範囲

マップには、いまの顧客の動きを描く現状版と、あるべき体験を描く理想版があります。現状版はユーザーの実際の行動を、理想版は企業が届けたい購買プロセスを描くものです。両者を1枚に混ぜると、事実と願望の区別がつかなくなります。

改善の打ち手を探す段階なら、まず現状版を作ります。新商品の立ち上げのように現状のデータがない場合は、理想版から作り、発売後にユーザーの実データで現状版へ描き直します。

もう1つ決めるのが、マップの始点と終点です。「初めて広告を見た日」から「2回目の購入」までなのか、「契約」までなのか。終点が決まらないと、横軸がどこまでも伸びていきます。

第3章 想像で埋めないための5つのデータ源|カスタマージャーニーマップ作成の材料集め

第3章 想像で埋めないための5つのデータ源|カスタマージャーニーマップ作成の材料集め

目的と範囲が決まったら、欄を埋める材料を集めます。社内の思い込みでマップを作らないために、この章で紹介する5つのデータ源を作成前にそろえておきます。

3-1. 検索クエリから情報収集フェーズの言葉と悩みを拾う

Google Search Consoleの検索パフォーマンスでは、自社サイトが表示された検索語句を確認できます。リスティング広告を出している場合は、Google広告の検索語句レポートも同じ役割を果たします。

検索語句は、ユーザーが自分の言葉で書いた悩みそのものです。

「〇〇 料金」「〇〇 比較」「〇〇 やめた理由」のように語句をフェーズごとに振り分けると、各段階の感情の欄が想像ではなく実際の言葉で埋まります。検索語句の集め方は「SEO対策で効果の出るキーワード選定のやり方」でも詳しく解説しています。

3-2. GA4の経路データ探索で比較検討フェーズの寄り道を見る

GA4の探索機能にある経路データ探索を使うと、ユーザーがどのページからどのページへ移ったかを確認できます。料金ページの次に事例ページを見るユーザーが多い、といった比較検討中の動きがわかります。

ここで見るべきは、問い合わせに至ったユーザーと至らなかったユーザーの経路の違いです。両者の差が出るページが、マップの中で重点的に書くべきタッチポイントになります。

3-3. 問い合わせ・営業記録・インタビューで購入直前の不安を集める

購入直前の感情は、アクセスデータには残りません。問い合わせフォームの自由記入欄、営業の商談メモ、カスタマーサポートへの質問履歴を読み、決め手と迷いを書き出します。

可能であれば、直近で購入した顧客3〜5人に30分ずつ話を聞きます。ペルソナの材料としても、この聞き取りが最も確かな情報源になります。「最初に何で知ったか」「他に何と比べたか」「最後に何が決め手だったか」の3問だけでも、マップの空欄の多くが埋まります。

3-4. 解約・離脱の記録から継続フェーズの課題を見つける

5つ目のデータ源は、解約理由や休眠顧客の記録です。継続フェーズの課題は、購入前の調査では見えないため、見落とされやすい部分です。

株式会社Grillの支援経験上、マップの右端(利用・継続)が空欄のまま完成扱いになっているケースが目立ちます。リピートや紹介で売上を伸ばしたい企業ほど、解約アンケートと休眠顧客の購買履歴を先に集めておくと、マップの使い道が広がります。

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第4章 離脱地点から逆算するカスタマージャーニーマップ作成の7ステップ

第4章 離脱地点から逆算するカスタマージャーニーマップ作成の7ステップ

材料がそろったら、実際にマップを作成します。ここでは、認知から順に書くのではなく、目的の数字が落ちている地点から逆にたどる7つのステップを紹介します。

4-1. STEP1〜2:目的の数字が落ちる地点を特定し、ペルソナを1人に決める

STEP1:離脱地点を特定する

第2章で決めた数字が、どのフェーズで最も大きく落ちているかを確認します。資料請求は多いのに商談化しないなら、落ちているのは資料請求の後です。マップはこの地点を中心に厚く書きます。

STEP2:ペルソナを1人に決める

離脱地点で止まっているユーザーの中から、最も売上への影響が大きい層を選び、1人のペルソナに落とし込みます。複数の層を1枚に混ぜると、行動の欄が「人による」で埋まってしまいます。年齢や職業より、購入を急ぐ事情や社内での立場をペルソナに書き込むと、行動の欄が具体的になります。

4-2. STEP3〜4:フェーズを区切り、離脱地点から前後へ行動を書く

STEP3:フェーズを区切る

始点から終点までを5〜7つのフェーズに分けます。BtoBなら「課題認識→情報収集→比較検討→社内稟議→契約→導入→定着」のように、社内の承認を独立させると実態に合います。

STEP4:離脱地点から前後へ行動を書く

STEP1で特定した地点からペルソナの行動を書き始め、1つ前、1つ後のフェーズへ広げます。各欄の行動には、第3章で集めたデータのどこから書いたかを小さく添えておくと、後から根拠を確認できます。

4-3. STEP5〜6:タッチポイントと感情を重ね、課題に優先順位をつける

STEP5:タッチポイントと感情を重ねる

各行動の下に、その時に接しているタッチポイントと、その時のユーザーの感情を書きます。感情は「不安」のような1語ではなく、「月額は書いてあるが初期費用が書いていない」のように具体的に書きます。

STEP6:課題に優先順位をつける

マイナスの感情が出ている欄を課題として抜き出します。すべてに手を付けるのではなく、目的の数字への影響が大きく、すぐ直せるものから順に3つまで選びます。

4-4. STEP7:施策と担当者・期限を書き込んでカスタマージャーニーマップを完成させる

最後に、選んだ課題ごとに施策、担当者、期限を書き込みます。この行がないマップは、どれだけ丁寧に作っても会議資料で終わります。

完成したマップは、次の3点を満たしているかで判断します。

  • 目的の数字と、それが落ちている地点がマップ上で示されている
  • 行動と感情の欄に、どのデータから書いたかの根拠が添えられている
  • 施策の行に、担当者と期限が入っている

第5章 記入例で見るカスタマージャーニーマップ作成|BtoB資料請求とBtoC定期購入の2ケース

第5章 記入例で見るカスタマージャーニーマップ作成|BtoB資料請求とBtoC定期購入の2ケース

ここまでの手順を、BtoBとBtoCの2つのケースに当てはめた記入例で確認します。いずれも離脱地点を中心に書いているため、全フェーズが同じ密度にはなっていません。

5-1. BtoB SaaSの例|資料請求から商談までの空白を埋めるマップ

勤怠管理SaaSを提供する企業のマーケティング部門が、「資料請求から商談化までの率を上げる」を目的に作成した例です。ペルソナは、従業員80名の製造業で総務を兼任する課長としました。

項目情報収集資料請求社内相談商談
行動「勤怠管理 比較」で検索3社に資料請求部長に費用を相談2社とオンライン面談
タッチポイント検索結果・比較記事LP・フォーム資料PDF営業担当
感情自社規模で使えるか不安営業電話が来そうで迷う総額を聞かれて答えられない導入の手間が知りたい
課題規模別の事例が見当たらない資料に総額の目安がない稟議に使える1枚がない移行手順の説明が口頭のみ
施策従業員規模別の事例記事資料に初期費用込みの試算表稟議用サマリーを同封移行スケジュール表を事前送付

このマップで見えたのは、資料請求の後に「部長に説明できない」という空白があることでした。ユーザーの検討プロセスのうち、自社のタッチポイントが1つもない区間だったのです。資料そのものではなく、社内相談のフェーズに向けた1枚が不足していたのです。

5-2. BtoC定期購入の例|初回購入後の解約を減らすマップ

スキンケア商品の定期購入で、「2回目の受け取り前の解約を減らす」を目的にした例です。ペルソナは、Instagram広告から初回980円で購入した30代の会社員としました。

項目購入初回到着使用1週目2回目発送前
行動広告からLPで申込箱を開けて同封物を見る毎晩使う解約方法を検索
感情安いので試したい使い方の説明が多くて読まない変化がわからない2回目の金額が高く感じる
課題定期の条件が伝わっていない最初の3日の使い方が埋もれる効果の目安を知らない続ける理由が届いていない
施策LPに2回目以降の価格を明記同封物を1枚に絞る使用3日目にLINEで使い方を配信発送5日前に使用感のアンケート

このケースでは、解約の原因を2回目の価格だけに求めると値引きしか打ち手がなくなります。マップを描くと、その前の「変化がわからない」という感情に先に手を打てることがわかります。

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第6章 マップを施策と数字に変える|広告・SEO・LP・CRMへの落とし込み方

第6章 マップを施策と数字に変える|広告・SEO・LP・CRMへの落とし込み方

カスタマージャーニーマップは、作成して終わりではなく、施策と数字に変換して初めて役に立ちます。この章では、マップの各フェーズを具体的なマーケティング施策と指標に落とし込む方法を整理します。

6-1. フェーズごとにKPIを1つ置き、施策の成否を測れるようにする

マップの横軸ごとに、測る指標を1つずつ決めます。1つのフェーズに指標を3つも4つも置くと、どれを見て判断するのかが曖昧になります。

フェーズ主な施策KPIの例
認知SNS広告・動画広告指名検索数
情報収集SEO記事・比較コンテンツ対象記事からの回遊率
比較検討リスティング広告・LPLPのCV率
購入・申込フォーム改善・決済手段の追加フォーム完了率
利用・継続メール・LINE配信2回目購入率・継続率

指標の決め方や分析の手順は「リスティング広告の分析方法と指標設計」も参考になります。

6-2. 情報収集フェーズはSEO、比較検討フェーズは広告とLPで受ける

情報収集フェーズのユーザーは、まだ問い合わせる段階にありません。

この段階は、第3章で集めた検索語句に答えるSEO記事で受けるのが基本です。記事の作り方は「SEO記事の書き方完全ガイド」にまとめています。

比較検討フェーズに入ったユーザーは、「〇〇 料金」「〇〇 比較」のような具体的な語句で検索します。このフェーズにはリスティング広告とLPを当て、マップの感情欄に書いた不安にLPの見出しで先回りして答えます。

LPの見出しの組み立ては「LP構成の作り方完全ガイド」が参考になります。

6-3. 購入後のフェーズはCRMで受け、マップの右端を売上につなげる

購入後の利用・継続フェーズは、メールやLINEなどのCRM施策で受けます。第5章の定期購入の例のように、配信のタイミングをマップの感情の変化に合わせると、同じ文面でもユーザーの反応が変わります。購入後の体験を設計する工程は、売上の継続に直結します。

株式会社Grillが2025年7月〜12月に支援した単品通販の企業(N=6社)では、購入後フェーズのマップを作成しました。配信タイミングを「使用3日目」「発送5日前」に変えた結果、2回目の継続率が平均58%から66%に改善しました。LINEを使った配信体制の作り方は「LINE公式アカウントの運用代行」でも紹介しています。

第7章 半日で仕上げるカスタマージャーニーマップ作成ワークショップの進め方

第7章 半日で仕上げるカスタマージャーニーマップ作成ワークショップの進め方

マップを1人で作ると、その人の見えている範囲だけの図になります。この章では、関係部署を集めて半日で1枚目を仕上げるワークショップの進め方を紹介します。

7-1. 参加者は4〜6人|マーケティング・営業・サポートから1人ずつ集める

参加者は4〜6人が適切です。多すぎると発言しない人が出て、少なすぎると見えないタッチポイントが残ります。部署ごとに見えている顧客の姿が違うことを前提に、人選をします。

最低限、マーケティング担当、営業担当、カスタマーサポート担当を1人ずつ入れます。広告やSEOの数字はマーケティング担当が、商談での迷いは営業担当が、購入後の不満はサポート担当が持っているからです。決裁者は最後の30分だけ参加してもらうと、施策の優先順位をその場で決められます。

7-2. 4時間のタイムテーブル|事前準備から施策の決定まで

半日(4時間)のワークショップは、次の時間配分で進めます。

  1. 0:00〜0:20 目的と範囲の確認:第2章で決めた数字と、マップの始点・終点を共有する
  2. 0:20〜1:00 データの読み合わせ:事前に集めた検索語句・経路・商談メモを全員で読む
  3. 1:00〜2:30 行動と感情の書き出し:離脱地点のフェーズからペルソナの行動を付箋で書き、前後へ広げる
  4. 2:30〜3:20 課題の抽出と優先順位づけ:マイナスの感情が集まる欄に投票し、3つに絞る
  5. 3:20〜4:00 施策・担当・期限の決定:決裁者を交えて、次の1か月で実行する内容を決める

データの読み合わせを省くと、2の時間が想像の出し合いになります。データは開催の1週間前までに主催者がまとめ、参加者に配っておきます。

株式会社Grillが同席したワークショップで、データを用意せずに始めたところ、営業担当とマーケティング担当の認識が食い違い、感情の欄の議論だけで2時間が過ぎた例がありました。翌週、問い合わせフォームの記入内容を20件読んでから再開すると、同じ論点が30分で片付きました。

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第8章 作成ツールとテンプレートの選び方|Excel・Miro・FigJam・生成AIの使い分け

第8章 作成ツールとテンプレートの選び方|Excel・Miro・FigJam・生成AIの使い分け

カスタマージャーニーマップは、特別なツールがなくても作成できます。この章では、目的と体制に合わせたツールとテンプレートの選び方を整理します。

8-1. 1人で作る最初の1枚はExcelやスプレッドシートのテンプレートで十分

最初の1枚は、ExcelやGoogleスプレッドシートで作るのが手軽です。縦軸に7行、横軸に5〜7列の表を作るだけで、テンプレートとして使えます。

表計算ソフトは、根拠のデータへのリンクを各セルに貼れる点でも便利です。見た目を整えるのは、中身が固まってからで間に合います。マーケティングの会議で使う資料なら、表のままでも十分に伝わります。

8-2. 複数人で作るならMiroやFigJamなどのオンラインホワイトボード

ワークショップをオンラインで行う場合は、MiroやFigJamなどのオンラインホワイトボードツールが向いています。いずれもカスタマージャーニーマップのテンプレートが用意されており、付箋を貼る感覚で複数人が同時に書き込めます。

完成版を社外や経営層に見せる場合は、CanvaやLucidchartで清書する方法もあります。ただし、清書に時間をかけるほど、後から書き換えにくくなる点には注意が必要です。ツール選びより、中身を更新し続けられるかを優先してください。

8-3. 生成AIは下書きと抜け漏れの確認に使い、事実の欄は任せない

ChatGPTやClaudeなどの生成AIにペルソナと商品情報を渡すと、数分でマップの下書きを作れます。たたき台として、フェーズの区切り方や、見落としているタッチポイントの確認に使うと便利です。

ただし、生成AIが書く行動と感情は、一般論から作られたもっともらしい推測で、自社のユーザーの記録ではありません。事実の欄は第3章のデータで書き直し、AIの出力をそのまま完成版にしないでください。

生成AIのマーケティング活用は「ChatGPTをSEO対策に効率的に活用する方法」でも解説しています。

第9章 カスタマージャーニーマップ作成で起きやすい6つの失敗と防ぎ方

第9章 カスタマージャーニーマップ作成で起きやすい6つの失敗と防ぎ方

手順どおりに進めても、作成の途中で陥りやすい落とし穴があります。ここでは、支援の現場でよく見かける6つの失敗と、その防ぎ方をまとめます。

9-1. 作成段階で起きる3つの失敗|理想の顧客像・全フェーズ均等・企業目線

① 理想の顧客を描いてしまう

「こう動いてほしい」という願望がペルソナに混ざると、マップは現実の顧客の体験と離れます。ペルソナは、実際に購入したユーザーの記録から作ります。

② 全フェーズを同じ密度で埋める

すべての欄を埋めることに時間を使い、肝心の離脱地点が薄くなる失敗です。第4章のとおり、目的の数字が落ちる地点から書きます。

③ 企業の用語で行動を書く

「ナーチャリングメールを開封」のような社内の言葉で書くと、顧客の実感から離れます。行動の欄は「届いたメールを通勤中にスマホで読む」のように、ユーザー本人の目線で書きます。

9-2. 作成後に起きる3つの失敗|施策なし・数字なし・更新なし

④ 施策の行が空のまま完成扱いにする

課題を出したところで満足し、誰が何をいつまでにやるかが決まらない失敗です。STEP7の担当者と期限は必ず埋めます。

⑤ 施策の効果を測る数字を決めない

第6章のKPIを置かないと、施策が効いたのかどうかを判断できません。マップの下段に、フェーズごとの指標と現在の数値を書いておきます。

⑥ 作った日のまま更新しない

広告の配信先や商品の価格が変われば、顧客の購買プロセスも変わります。次の章で紹介するルールで、見直しの時期を先に決めておきます。

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第10章 作ったマップを使い続けるための見直しルール|更新の頻度と担当の決め方

第10章 作ったマップを使い続けるための見直しルール|更新の頻度と担当の決め方

マップは作成した時点の顧客の姿を写したものにすぎません。この章では、マップを現場で使い続けるための見直しのルールを紹介します。

10-1. 四半期に1回、KPIの変化が大きいフェーズだけを描き直す

全体を作り直す必要はありません。マーケティングの予算計画と同じ周期で見直すと、施策の入れ替えと連動させやすくなります。四半期に1回、第6章で置いたKPIを見比べ、数字が大きく動いたフェーズだけを描き直します。

あわせて、新しい検索語句や問い合わせ内容を確認し、感情の欄の言葉が古くなっていないかを見ます。半年前と同じ不安が並んでいれば、施策がユーザーに届いていないサインです。

10-2. マップの持ち主を1人決め、施策の結果を同じ1枚に書き戻す

マップの更新担当を1人決めます。担当がいないマップは、誰のものでもない資料になり、やがて開かれなくなります。

施策を実行したら、その結果をマップの施策の行に書き戻します。

「LPに総額を追記→フォーム完了率が3.1%から4.0%」のように記録が積み重なると、マップが改善の履歴書になります。LPの検証方法は「LPOでの効果的なABテストのやり方とは?」で解説しています。

第11章 カスタマージャーニーマップ作成でよくある疑問

第11章 カスタマージャーニーマップ作成でよくある疑問

最後に、作成を始める前に担当者からよく受ける質問にお答えします。

11-1. ペルソナが複数いる場合、マップは何枚作るべきですか?

売上への影響が大きいペルソナから1枚ずつ作ります。最初から3枚を並行すると、どれも浅くなります。1枚目で施策と数字の流れが回り始めてから、2枚目に進むのが現実的です。

11-2. BtoBで決裁者と担当者が別の場合はどう描けばよいですか?

担当者をペルソナの主人公にし、社内稟議のフェーズを独立させます。

そのフェーズの行動の欄に「部長へ費用を説明する」「情報システム部に確認する」のような社内のやり取りを書くと、決裁者向けに必要な資料が見えてきます。BtoBの導線設計は「BtoBに特化したLP制作の完全ガイド」も参考になります。

11-3. 1枚目の作成にはどのくらいの時間がかかりますか?

データの準備に1〜2週間、ワークショップに半日が目安です。株式会社Grillが2025年度に作成を支援した案件(N=17件)では、準備開始から施策の決定までの期間は中央値で12営業日でした。

11-4. 小規模な会社や1人の担当者でも作る意味はありますか?

あります。1人で作る場合は、直近の問い合わせや購入した顧客の記録を5件読むことから始めます。全フェーズを作り込まず、離脱地点の前後3列だけの小さなマップでも、次に直す1か所は十分に決められます。

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第12章 1枚目は最近の問い合わせ3件から|明日から始めるカスタマージャーニーマップ作成

第12章 1枚目は最近の問い合わせ3件から|明日から始めるカスタマージャーニーマップ作成

マップ作りでつまずく会社の多くは、白紙の表を前に「認知」の欄から書き始めています。順番を逆にするだけで、作業はずっと軽くなります。

12-1. 最初の1時間は、問い合わせ3件を後ろから読み返す

明日の最初の1時間で、直近の問い合わせか購入の記録を3件選んでください。それぞれについて、申し込みの直前に何を見て、何に迷い、何が決め手になったのかを、記録や担当者の記憶からたどります。

3件を後ろから読み返すと、多くの場合、同じ場所で同じ迷いが出てきます。ユーザーごとに事情は違っても、購買プロセスのつまずく地点は重なるからです。そこが、あなたの会社のマップで最初に厚く書くべき地点です。目的の数字とその地点が決まれば、残りの欄は第3章のデータで順に埋まっていきます。

12-2. マップのどの欄から施策に変えるか|株式会社Grillの支援範囲

マップが完成しても、「LPを直すのか、広告の訴求を変えるのか、記事を足すのか」で手が止まる企業は多くあります。株式会社Grillは、マップに書かれた課題を、広告・SEO・LP・CRMのどのマーケティング施策で受けるかの切り分けから担当します。

検索語句やGA4の経路データを使い、空欄になっている行動や感情の欄を実データで埋めるところからご一緒することも可能です。

施策を実行した後は、第6章のようにフェーズごとの指標を置き、短い周期で検証と修正を繰り返します。AIを使った集計とレポート作成で分析の手間を減らしているため、数字を見て次の手を打つまでの間隔が短いことが特長です。

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御社のマップのうち、いちばん数字が落ちている1列をお見せください。その列をどの施策で埋めるかを、具体的な指標と期限の形でご提案します。

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この記事を書いた人
2014年オイシックス株式会社にて海外事業の中核を担ったのち、香港および中国現地法人の社長に就任。アジア市場における事業の飛躍的な拡大を牽引。2017年には株式会社Emooveを代表取締役CEOとして創業。ゼロからの事業立ち上げて急成長を実現し、事業売却(EXIT)を成功へと導く。現在は、株式会社Grillの取締役COOとして参画。これまでの経営手腕と最前線で培った知見を融合させ、様々な業界に向けて事業成長に直結するWEBマーケティング支援を強力に推進している。
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