士業事務所では、問い合わせが2倍になっても売上が2倍にはなりません。業務に応じられるのは有資格者だけで、1人が1か月に確保できる初回相談の枠には上限があるからです。
枠が埋まった状態で広告費だけを積み増すと、折り返しの遅れと取りこぼしが増え、対応の粗さが評判に跳ね返ります。反対に枠が空いたまま施策を止めれば、事務所の固定費だけが残ります。2026年時点の士業のweb集客で問われているのは、流入を増やす技術よりも、有限な相談枠に流入量を合わせる配分の設計です。
本記事は、その配分設計を実務の順番どおりに組み立てるための手引きです。有資格者の稼働から逆算する目標の置き方に始まり、5資格それぞれの広告規程が引く線、初回相談の受け口と受任までの導線までを扱います。続けて予算の割り振り、支援会社10社の比較と、マーケティングの判断材料をひととおり揃えました。
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士業のwebマーケティングは、獲得したい問い合わせ件数からではなく、事務所が受けられる相談の量から設計します。この章では、士業特有の供給制約を出発点に、目標の置き方と導線の分け方という戦略の骨格を整理します。
一般的なマーケティングでは、流入を増やせば売上が伸びるという前提が成り立ちます。士業事務所ではこの前提が崩れます。業務を提供できるのは有資格者に限られ、初回相談での見立ても代替が効かないためです。
有資格者1人が1か月に確保できる初回相談の枠は、既存案件の進行と期日対応を差し引いた残りにすぎません。ここが埋まった状態で広告の予算を増やしても、増えるのは折り返しの遅れと機会損失です。流入の上限は、事務所の外ではなく中にあります。
株式会社Grillは、士業事務所のwebマーケティング支援で得た数値を集計しています。対象は弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士の事務所で、2025年4月〜2026年3月のN=9事務所です。web経由の問い合わせ100件のうち、初回相談まで進んだのが平均41件、受任に至ったのが13件でした。件数だけを追うと、この間で起きている脱落が見えないまま予算が膨らみます。
集客の良し悪しを測る指標は、問い合わせ件数ではなく「相談1枠あたりが生む粗利」に置き換えます。同じ10件の問い合わせでも、受任率が1割の分野と5割の分野では、消費する稼働がまったく違います。
計算は単純です。受任単価に受任率を掛け、そこから広告費と面談にかかった時間コストを引きます。この数字が有資格者の時間単価を下回る施策は、件数が伸びていても縮小の判断対象になります。
指標を切り替えるときは、次の3つを分野別に集計してください。分野をまたいで平均すると、稼働を食っている分野が黒字の分野に隠れます。
士業の収益は、単発で完結するスポット業務と、月次で積み上がる顧問業務の二層に分かれます。相続手続や許認可申請、債務整理などは前者、税務顧客の月次顧問や労務顧問は後者です。
スポット業務は「期限が迫っている人」を拾う設計が向きます。検索した当日に電話がつながるか、必要書類の一覧がその場で見えるかが受任を分けます。
顧問業務は逆に、比較検討の期間が数か月に及びます。専門性が伝わるコンテンツを継続的に置き、面談前に信頼を積むwebマーケティングの導線が必要です。同じ事務所サイトの中で、この2種類を混ぜないことが設計の要点になります。

目標件数は、空いている相談枠から逆算します。有資格者2人の事務所で、1人が月8枠を初回相談に充てられるなら、上限は16枠です。
ここに1-2で出した到達率と転換率を当てはめます。問い合わせから初回相談への到達率が4割なら、必要な問い合わせは月40件が上限になります。この数字を超えて流入を増やす施策は、その月は投資対象から外します。
繁忙期は枠が縮み、閑散期は広がります。決算期や年度替わりで枠が動く事務所では、月次で上限を引き直し、リスティング広告の日予算をそこに合わせる運用が現実的です。
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web集客で使える表現は、資格ごとに根拠となる規程が異なります。線引きを外すと、マーケティングの成果を得る前に事務所の信頼を損ないます。ここでは弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士の5資格について、公開されている会規・会則の条文にそって整理します。
弁護士の広告は、日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」(令和7年12月5日改正)が根拠です。同規程の第3条は、してはならない広告として7つの類型を挙げています。
さらに第4条は、広告に表示できない事項として4つを定めています。訴訟の勝訴率、顧問先又は依頼者、受任中の事件、過去に取り扱い又は関与した事件の4つです。
このうち依頼者・受任中の事件・過去の事件については、書面又は電磁的方法による同意など、条文が定める例外があります。「勝訴率」だけは例外規定がなく、web集客の実績表現として使えません。
加えて第5条は、面識のない者への訪問・電話による広告と、承諾を得ないファクシミリ・SMS・電子メール等による広告を禁じています。

司法書士の広告規則は単位会ごとに定められており、所属会の規則を確認する必要があります。ここでは大阪司法書士会の「会員の広告に関する規則」を例に見ていきます。
同規則の第3条は、禁止される広告として10類型を挙げています。事実に合致しない広告、誤導・誤認のおそれのある広告、誇大又は過度な期待を抱かせる広告、他の会員との比較広告、他の会員をひぼう・中傷する広告などです。
加えて、金品等の提供や供応をもって依頼を誘致するような広告と、法令・会則に違反する広告が挙げられています。
さらに、依頼者を表示した広告、受託中の案件や過去に取り扱った案件を表示した広告、品位又は信用を損なうおそれのある広告が並びます。依頼者・案件の表示は、依頼者からの文書による同意がある場合が例外です。
同会の運用指針は、依頼誘致にあたる例として「友人等をご紹介いただいた方には紹介料を差し上げます」「キャンペーン期間中につき報酬割引中」という表現を挙げています。紹介キャンペーンと期間限定の割引訴求は、web集客で使いやすい反面、規則に触れる典型例です。
また同指針は、客観的に顧客誘引が主たる目的と受け取れるホームページも広告と判断されるとしており、自事務所サイトも規則の対象になります。
税理士の広告は、5資格のなかでは制約が緩やかです。日本税理士会連合会が示す綱紀規則の準則第22条は、「会員は、自己の業務について、本会の定めに反する場合を除き、広告することができる」と定めています。
つまり原則は自由で、必要な事項は細則に委ねる構造です。マーケティングの表現の幅は5資格のなかで最も広く、実務では所属する税理士会の細則や運用指針を確認したうえで訴求を決めます。
原則自由であることは、何を書いてもよいという意味ではありません。景品表示法をはじめとする一般法は当然に適用され、根拠のない「顧問料が必ず下がる」といった断定は顧客の誤認を招きます。規制が緩い資格ほど、表現の自主基準を自事務所で持つ必要があります。
社会保険労務士は、全国社会保険労務士会連合会会則が判断の土台になります。同会則の第43条の4は不当勧誘等を禁じており、第3項で「誇大若しくは虚偽の事項により相手方を欺くおそれがある方法で、広告又は宣伝を行ってはならない」と定めています。
同条第4項は、相手方の承諾を得ずに電子メールにより広告を送信することを禁じています。リストへの一斉配信で新規開拓を図る手法は、承諾の取得を前提にしなければ会則に反します。また第1項では重要事項について不実を告げる勧誘が、第2項では依頼しない旨を表示した相手への勧誘が禁じられています。
web集客で見落とされやすいのが労使の中立性です。同会則第43条の2は「社会保険労務士会の会員は、適正な労使関係を損なう行為をしてはならない」と定めています。
第44条第2項も、連合会が会員に対し「事業における適正な労使関係が損なわれないよう指導する」と規定しています。経営者側に全面的に立つ趣旨の訴求は、これらの規定に照らして問題になり得ます。
なお第43条の3第2項は、受任に際して業務の内容や報酬等を書面の交付等により明示し、十分に説明することを求めています。フォームから申し込みが入った時点で、料金と業務範囲を提示する運びを用意しておくと安全です。
行政書士については、日本行政書士会連合会会則を通読しても広告を直接規律する条文が見当たりません。会則本文を機械的に検索しても「広告」の語は現れず、広告の可否は他の規定と一般法から判断することになります。
土台になるのは責務と品位保持の規定です。会則第59条は「単位会の会員は、誠実にその業務を行うとともに、行政書士の信用、又は品位を害するような行為をしてはならない」と定め、第60条は品位の保持を求めています。
実質的な線引きを担うのは景品表示法などの一般法です。優良誤認・有利誤認にあたる表示は、行政書士であっても当然に規制の対象になります。加えて単位会が独自に広告規則を設けている場合があるため、所属会の規程を確認したうえで表現を決めてください。

依頼するかどうかの判断は、相談の前段でおおむね固まります。依頼者は事務所を訪ねる前に、検索結果とホームページの記述だけで信頼できるかを決めています。この章では、検索する言葉・書き手の見せ方・報酬の開示という3つの局面から、webマーケティングの情報設計を考えます。
検索する人は、業務名を知っている層と知らない層に分かれます。「相続放棄 期限」と調べる人はすでに手続の名前にたどり着いており、比較の段階にいます。
一方で「親の借金 相続したくない」と調べる人は、自分の状況を説明する言葉しか持っていません。この層に業務名で書かれたページを見せても、自分に関係があると気づけません。
入口は、この2層で分けます。業務名クエリには手続の流れ・必要書類・費用を、悩み言葉のクエリには「あなたの状況はこの手続に当たります」という接続を置きます。
前者はリスティング広告と相性がよく、後者はSEOとコンテンツで拾う設計が噛み合います。悩み言葉から入った人には、専門性を語る前に状況を整理してみせるほうが信頼につながります。
信頼の担保をどこに置くかで、サイトの作りが変わります。有資格者個人を前面に出すと、人柄と専門性が伝わりやすく、相談のハードルが下がります。
ただし個人依存の設計には、担当者が動けないときに導線が止まる弱点があります。有資格者が複数いる事務所では、事務所名を主体にしつつ、分野ごとの担当者ページを別に持たせると両立します。SNSのアカウントを個人名で運用する場合も、事務所サイト側に経歴を置いて信頼の裏付けを揃えます。
判断の基準は、受任までの検討期間の長さです。期限が迫った相談は事務所としての対応力が、顧問契約のような長期の関係は担当者個人の印象が決め手になります。取扱分野の構成に合わせて、どちらを主語にするかを戦略として先に決めてください。

報酬を出さないサイトは、相談の前に候補から外れます。金額そのものより、「いくらかかるか見当がつかない」という不安が離脱を生むためです。金額の開示は、信頼を得るための前提条件だと考えてください。
開示は総額だけでは足りません。着手金と報酬金の区別、登録免許税や印紙代といった実費、追加費用が発生する条件の3点を分けて示すと、問い合わせ時の質問が具体的になります。
報酬ページに載せる項目は次のとおりです。第2章で見たとおり、社会保険労務士の会則は受任時の書面による明示を求めており、弁護士の規程も通信手段だけで受任する場合の報酬表示を定めています。web上の記載は、その義務と地続きで設計します。
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施策は「おすすめ順」ではなく、受任までの距離が近い順に並べると着手の順番が決まります。距離が近いほど早く売上に変わり、遠いほど積み上がるまで時間がかかります。予算の限られる事務所では、この順番そのものが戦略になります。
| 施策 | 受任までの距離 | 着手の目安費用 | 向く相談分野 |
|---|---|---|---|
| リスティング広告 | 近 | 月10万円〜+運用手数料 | 期限が迫った手続・トラブル |
| Googleビジネスプロフィール | 近 | 月1万5千〜5万円 | 地域名で探される相談全般 |
| 士業ポータルサイト | 近 | 月2万円台〜/成果報酬型 | 分野が定まった単発業務 |
| 分野別LP | 近〜中 | 1本20万〜60万円 | 単価の高いスポット業務 |
| SEO・コンテンツ | 中〜遠 | 月数万円〜 | 検討期間の長い相談 |
| YouTube・SNS | 中 | 月数万円〜 | 人柄で選ばれる分野 |
| ウェビナー・オンライン相談会 | 中〜遠 | 1回数万円〜 | 顧問契約・企業法務 |
| メールマガジン・LINE公式アカウント | 遠(再訪) | 月数千円〜 | 決断まで時間がかかる相談 |
リスティング広告は、8つの施策のなかで最も受任までの距離が近い手段です。相続放棄の期限、解雇通知への対応、許認可の申請期日など、時間の制約がある相談は検索してその日のうちに連絡先を探します。
出稿の設計は、第1章で出した相談枠の上限に合わせます。枠が月16件なら日予算もそこに合わせ、枠が埋まった週は入札を落とします。アクセルだけでなくブレーキを持てることが、士業の広告運用の条件です。
キーワードは業務名と地域名の掛け合わせから始め、顧客になりにくい語を除外設定で削ります。「無料」「自分で」「やり方」といった語は、手続を自力で終える意図が強く、受任につながりません。指標の設計は「リスティング広告の分析方法と指標設計」で整理しています。
地域名を伴う検索では、地図枠が最初に目に入ります。Googleビジネスプロフィールを整えておくと、ホームページのSEOが育つ前でも近隣からの相談を拾えます。
押さえる要素は、業務内容に合ったカテゴリの選定、営業時間と対応可能な曜日、外観と応接室の写真、そして相談予約への導線です。
士業は口コミが信頼の代わりになりにくい業種のため、「士業のMEO対策で近隣の見込み客を集める方法」で挙げた士業ポータルや所属会の名簿と表記を揃え、事務所名と住所の一致で地域との関連性を補います。
自宅兼事務所で住所を公開したくない場合の扱いも、資格ごとの制約とあわせて先に確認しておくと安全です。
士業ポータルサイトは、分野別に相談者を集めた既製の集客導線です。自事務所のホームページが地域名を含む検索で評価されるまでの期間を、掲載料や成果報酬で埋める手段として使えます。
注意点は依存度です。掲載順位や課金方式は運営側の裁量で変わり、受任単価も競合の入札で上がります。ポータル経由の売上比率が半分を超えたら、自事務所の導線へ予算を移す段階だと判断してください。
広告の遷移先をホームページのトップページにすると、相談内容にたどり着く前に離脱します。分野ごとに専用のLPを用意すると、同じ流入でも問い合わせ率が変わります。
LPに置く要素は、対象となる状況の言い換え、手続の流れ、報酬の内訳、担当者の経歴、そして相談の申し込み欄です。並べる順番は「LP構成の作り方完全ガイド」の型に沿えば大きく外しません。
訪問者が「自分の状況が書いてある」と感じる一文を最初の画面に置けるかで、その後の読了率が決まります。
SNS広告から流入させる場合も、遷移先は分野別のLPに揃えます。媒体をまたいでも、信頼を伝える要素の並びは変えないほうが検証しやすくなります。
SEOとコンテンツは、受任までの距離が遠い代わりに、積み上がると広告費に依存しない流入を生みます。手続の解説、判断が分かれる論点、実際に受けた質問への回答が主な素材です。
書き分けの軸は、第3章で整理した業務名クエリと悩み言葉のクエリです。対象語の選定は「SEOキーワード選定の完全ガイド」の手順に沿うと漏れが出にくく、前者には手続と費用を、後者には状況の切り分けを置きます。専門性が伝わる記述は、顧客の信頼を面談前に積む役割も果たします。
着手から検索流入が動き出すまでは、半年前後を見ておく前提で予算を組みます。この期間の戦略は、広告で短期の受任を確保しながらコンテンツを積み増す形が現実的です。
動画とSNSは、比較検討の期間を縮める用途に向きます。文章では伝わりにくい話し方や説明の丁寧さが、専門性と人柄の両方を伝え、信頼の獲得を早めるためです。
再生数そのものを目標に置くと、マーケティングの労力が本業を圧迫します。相談予約ページからリンクする1本、面談前に見てもらう1本というように、用途を決めて本数を絞る運用が現実的です。なお第2章で見たとおり、弁護士の規程は比較広告を禁じており、他事務所との比較を含む企画は避けます。
ウェビナーは、顧問契約や企業法務のように検討期間が長い相談と相性がよいマーケティング手法です。参加者は課題を自覚した段階にあり、その場で個別相談へ進む転換が期待できます。
テーマは、期限や制度改正のある論点に寄せると集客しやすくなります。法改正の施行前、決算期の前、助成金の公募前といった時期に合わせ、事務所の取扱分野と重なる論点を選びます。録画を資料として残せば、開催後も個別相談への導線として使い続けられます。
士業への相談は、検索してから数か月後に動くケースが珍しくありません。連絡先を残した人との接点を保つ手段として、メールマガジンとLINE公式アカウントが使えます。
配信内容は制度改正の要点と実際に多い質問への短い回答が中心で、売り込みを挟まず届け続けると信頼が保たれたまま検討再開の連絡が入ります。LINEは通知が届きやすい反面、頻度が高いとブロックされます。
配信設計と運用体制の考え方は「LINE運用代行のおすすめ会社22選を徹底比較」で扱っています。なお第2章のとおり、弁護士と社会保険労務士は承諾のない電子メール広告を規程・会則で禁じられているため、配信は必ず本人の同意取得を前提にします。

相談が発生する時期は資格ごとに違い、そこから逆算すると出稿と発信のタイミングが決まります。同じ地域で同じ施策を打っても、時期がずれればマーケティングの効率は大きく変わります。ここでは5つの資格について、案件が動く時期を軸に戦略の違いを整理します。
弁護士への相談は、出来事が起きた直後に集中します。逮捕、解雇通知、交通事故、督促状の到着といった局面では、その日のうちに連絡がつく事務所が信頼を得ます。
設計の要点は接触の速さです。夜間と土日の受付方法を明示し、フォーム送信後の自動返信で折り返しの目安時間を伝えるだけでも、離脱は変わります。
媒体ごとの使い分けは「弁護士の集客を安定させるWeb戦略と媒体設計」で解説していますが、時間帯別に広告の入札を調整し、対応できる時間に流入を寄せる運用も有効です。

税理士の顧客は、決算期と確定申告期、そして創業のタイミングで動きます。3月決算法人であれば申告は5月で、事務所の切り替えを検討するのは決算の2〜3か月前です。
したがってマーケティングの準備は、需要が立ち上がる時期より前倒しで進めます。創業前後の層には、法人設立時の届出や消費税の判断といったコンテンツが接点になり、地域の創業支援窓口と重なる検索キーワードも狙い目です。
顧問契約は検討期間が長いため、「税理士の広告規制と集客につながる広告設計」で整理した表現の注意点を踏まえつつ、比較検討用の資料を面談前に渡す導線が効きます。
司法書士への相談は、相続の発生や不動産の売買といった出来事を起点に動きます。2024年4月1日に相続登記の申請が義務化されて以降、期限を意識した検索が増えました。
導線は、地域名と手続名の掛け合わせで拾い、必要書類の一覧と概算費用まで一気に見せる構成が向きます。
相続は相談者が高齢のケースも多く、電話番号を目立つ位置に置く配慮が信頼と転換率の両方を左右します。業務別の設計は「【2026年版】司法書士が絶対やるべき集客方法10選」を参照してください。
行政書士の案件は、許認可の期限に紐づいて周期的に発生します。建設業許可や宅地建物取引業免許は有効期間が5年で、更新の時期が事前に読めます。
新規取得の相談は要件の判定から始まるため、該当するかどうかを自己診断できるコンテンツが入口になります。
更新は逆に、期限管理の代行まで含めて提案すると継続的な取引に変わります。新規は検索で拾い、更新は既存顧客への案内で押さえる二層の設計が噛み合います。媒体と規制対応は「行政書士の広告で成果を出す媒体と規制対応」で整理しています。
社会保険労務士の相談は、法改正の施行時期と助成金の公募時期に連動します。労働時間や社会保険の適用範囲が変わる局面では、対応を迫られた企業の検索が増えます。
発信は施行日の数か月前に置いて就業規則の見直しと運用の変更点を対にし、要点はSNSで短く配信して詳細を自事務所のコンテンツへ渡すと、信頼を積みながら接点を増やせます。
助成金は要件の確認から入るため、診断を入口に顧問契約へつなぐ流れが作れます。単発の申請代行で終わらせず、次の課題を提示することが顧問化の条件です。具体的な組み立ては「顧問ストックで安定させる社労士の集客設計」にまとめています。
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支援会社を選ぶときは、マーケティングの運用力に加えて、士業の規程を踏まえた表現ができるかを見ます。規程の理解が浅い会社に任せると、専門性の訴求が空回りし、信頼を損なう表現がそのまま世に出ます。ここでは公式サイトで士業向けの支援を事業として掲げている10社を、対応資格・支援領域・費用の目安で比較します。
| 会社名 | 主な対応士業 | 得意な支援領域 | 費用の目安 | こんな事務所に向いている |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社Grill | 全士業 | リスティング広告運用・SEO・MEO・LP制作 | 広告10万円〜/手数料10%〜、SEO・MEOは月額数万円〜 | 規程に沿った表現で広告を回し、費用を抑えて始めたい事務所 |
| 株式会社アックスコンサルティング | 税理士・弁護士ほか | 士業特化のWebマーケティング・ホームページ制作 | 要問い合わせ | 経営支援まで含めて相談したい事務所 |
| エファタ株式会社 | 弁護士・税理士 | ホームページ制作/運用・分野別ポータル運営 | 要問い合わせ | 受任率の改善を軸にホームページを作り直したい事務所 |
| 株式会社WonderSpace | 全士業 | 広告運用代行・SEO・コンテンツ制作 | 要問い合わせ(無料診断あり) | 広告とSEOをまとめて任せたい事務所 |
| 有限会社ポーカー・フェイス | 士業全般 | 士業専門のホームページ制作・リスティング広告代行 | 公式サイトに料金を掲載 | 制作と広告を1社で完結させたい事務所 |
| 風デザイン株式会社 | 士業全般 | 士業向けホームページ制作・活用コンサルティング | プラン別の料金目安を公開 | 作った後の運用まで伴走してほしい事務所 |
| 株式会社LANY | 士業全般 | 士業特化のSEOコンサルティング | 要問い合わせ | 検索流入を中長期で伸ばしたい事務所 |
| 株式会社オルトベース | 税理士・弁護士ほか | ホームページ制作・SEO対策・広告運用 | 要問い合わせ | 資格別の実績を見て選びたい事務所 |
| 株式会社WEBマーケティング総合研究所 | 社会保険労務士・税理士 | 自社CMSによるホームページ作成 | 要問い合わせ | 自分たちで更新できるホームページが欲しい事務所 |
| 株式会社船井総合研究所 | 全士業 | 業種別の経営コンサルティング | 要問い合わせ | 集客を含めて経営全体を見直したい事務所 |

【士業の規程を踏まえた広告設計から受任導線まで一貫して組み立てるwebマーケティング会社】
株式会社Grillは、士業事務所のweb集客を、相談分野ごとのリスティング広告アカウント設計とLP制作から組み立てます。第2章で扱った各資格の広告規程は表現の自由度を大きく左右するため、比較表現・勝訴率・依頼者名といった表示できない要素を外し、信頼を損なわずに訴求力を保つ広告文とLPを設計します。
SEOとMEOについても、業務名クエリと悩み言葉のクエリを分けたコンテンツ設計で、検索からの相談を積み上げます。
料金は、AI・自動化ツールを活用した運用効率化を土台に、広告運用が最低出稿10万円〜・手数料10%〜という水準です。手数料20%が業界の標準的な水準であることを踏まえると、その半額から始められる計算になります。
SEO・MEOの支援は月額数万円〜で、有資格者1〜2人の事務所でも着手しやすい設計です。検証と改善の周期が短いため、相談枠が縮んだ月には出稿を絞り、枠が空いた月には広げるという増減の判断を、翌月まで持ち越さずに実行できます。
広告とSEOを別会社に分けると起きがちな「クリックは増えたが受任が動かない」という詰まりも、同一チームが横断してマーケティングを見ることで解消できます。動画クリエイティブやSNSの運用にも対応しているため、比較検討フェーズを短縮する動画の制作までまとめて相談できる点も特徴です。
\ 士業の集客改善ならおまかせ /
【無料】Grillに士業集客を無料相談>| 会社名 | 株式会社Grill |
| 所在地 | 東京都渋谷区東3丁目22−14 グランファースト恵比寿 5階 |
| 主な対応士業 | 弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士 ほか |
| 得意な支援領域 | リスティング広告運用・SEO・MEO・LP制作・動画 |
| 費用の目安 | 広告10万円〜/手数料10%〜、SEO・MEOは月額数万円〜 |
| 公式サイト | https://grill.co.jp/ |

【士業事務所に特化したWebマーケティングを掲げる支援会社】
株式会社アックスコンサルティングは、公式サイトで「士業事務所に特化したWebマーケティングサービス」を掲げています。士業業界の経営支援を30年以上続けており、支援事務所は15,000件以上、士業専門のWeb支援実績は2,800件以上と自社で公表しています。
ホームページ制作からWebマーケティングまで扱い、士業のWeb制作実績は1,000件以上とされています。集客だけでなく事務所経営そのものを相談したい場合に検討しやすい会社です。
| 会社名 | 株式会社アックスコンサルティング |
| 主な対応士業 | 税理士・弁護士 ほか |
| 得意な支援領域 | 士業特化のWebマーケティング・ホームページ制作 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://www.accs-c.co.jp/webmarketing/ |

【弁護士・税理士向けのホームページ制作と分野別ポータルを運営】
エファタ株式会社は、弁護士と税理士の事務所向けにホームページの制作と運用を手がけています。あわせて分野別の士業ポータルサイトを自社で制作・運用しており、事務所サイトとポータルの両面から相談を集める設計に対応します。
士業特化のWebマーケティングと受任率の向上を掲げている点が特徴です。士業向けのホームページ制作サービス「LEAGO」も運営しています。
| 会社名 | エファタ株式会社 |
| 主な対応士業 | 弁護士・税理士 |
| 得意な支援領域 | ホームページ制作/運用・分野別ポータル運営 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://www.effata.co.jp/ |

【広告運用とSEOを横断して支援するデジタルマーケティング会社】
株式会社WonderSpaceは、広告運用代行・SEO・コンテンツマーケティングなどを提供しています。サービス一覧には「士業向けWebコンサルティング」が明記されており、士業を対象とした支援メニューを持っています。
広告とSEOを横断して見られる体制のため、流入経路を分散させたい事務所が相談先の候補にしやすい会社です。無料相談と無料診断の窓口が用意されています。
| 会社名 | 株式会社WonderSpace |
| 主な対応士業 | 士業全般 |
| 得意な支援領域 | 広告運用代行・SEO・コンテンツ制作 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ(無料診断あり) |
| 公式サイト | https://wonderspace.co.jp/ |

【1997年から士業専門でホームページ制作を続ける会社】
有限会社ポーカー・フェイスは、自社を「士業専門ホームページ制作会社」と位置づけています。司法書士・弁護士・税理士・社会保険労務士・行政書士・弁理士向けのホームページ制作と、リスティング広告の運用代行を手がけています。
1997年から士業の支援を続けており、支援実績は1,300件を超えると自社で公表しています。制作と広告運用を1社にまとめたい事務所に向いています。公式サイト上で料金を掲載している点も、比較検討の材料になります。
| 会社名 | 有限会社ポーカー・フェイス |
| 主な対応士業 | 士業全般 |
| 得意な支援領域 | 士業専門のホームページ制作・リスティング広告代行 |
| 費用の目安 | 公式サイトに料金を掲載 |
| 公式サイト | https://www.pokerface.co.jp/ |

【士業向けホームページの制作と活用コンサルティングをセットで提供】
風デザイン株式会社は、サービス名「FLOW-WEB」で士業のホームページ制作を主要事業に据えています。制作にとどまらず、ホームページの活用と集客のコンサルティング、セミナー開催まで手がけています。
士業事務所600件以上の実績を自社で公表しており、作った後に更新が止まりがちな事務所を運用面から支える設計です。プラン別の料金目安を公開しているため、予算感を掴んでから相談できます。
| 会社名 | 風デザイン株式会社(KAZE DESIGN Inc.) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市中区不老町1-2-1 中央第6関内ビル302 |
| 主な対応士業 | 士業全般 |
| 得意な支援領域 | 士業向けホームページ制作・活用コンサルティング |
| 費用の目安 | プラン別の料金目安を公開 |
| 公式サイト | https://www.flow-web.jp/ |

【士業特化のSEOコンサルティングを専用ページで展開】
株式会社LANYは、デジタルマーケティングのコンサルティングを提供する会社です。「士業特化SEOコンサルティング」の専用ページを設けており、検索流入の設計を軸に士業を支援しています。
コンテンツの設計から実装までSEOの領域を深く扱うため、中長期で指名される状態を作りたい事務所と相性がよい会社です。短期の受任を求める場合は、広告を扱う会社との併用も検討対象になります。
| 会社名 | 株式会社LANY |
| 主な対応士業 | 士業全般 |
| 得意な支援領域 | 士業特化のSEOコンサルティング |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://www.lany.co.jp/ |

【資格ごとに支援領域を分けて公開しているホームページ制作会社】
株式会社オルトベースは、税理士・弁護士を中心に士業のホームページ制作を手がけています。税理士・公認会計士、法律事務所・弁護士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、弁理士・特許事務所と、資格ごとに対応領域を明記している点が特徴です。
制作に加えて、集客業務としてSEO対策と広告運用も提供しています。2018年5月設立で、代表取締役は森井良至氏です。
| 会社名 | 株式会社オルトベース |
| 主な対応士業 | 税理士・弁護士・社会保険労務士・司法書士・行政書士 ほか |
| 得意な支援領域 | ホームページ制作・SEO対策・広告運用 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://altbase.co.jp/ |

【自社CMSで更新しやすいホームページを提供】
株式会社WEBマーケティング総合研究所は、自社で開発したCMSによるホームページ作成サービスを提供しています。制作実績は10,000社以上とされ、社会保険労務士専門・税理士専門のサービスを個別に用意しています。
更新作業を自事務所で回したい場合に検討しやすい会社です。コンテンツの追加を外注に頼らず続けられる体制は、SEOを中長期で育てるうえでも利点になります。
| 会社名 | 株式会社WEBマーケティング総合研究所 |
| 所在地 | 東京都新宿区西新宿8-1-2-3F |
| 主な対応士業 | 社会保険労務士・税理士 |
| 得意な支援領域 | 自社CMSによるホームページ作成 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://www.webmarketing.co.jp/ |

【業種別の経営コンサルティングとして士業を支援】
株式会社船井総合研究所は、業種別の経営コンサルティングを展開する会社です。士業のカテゴリとして、税理士・会計士、弁護士、司法書士・土地家屋調査士、社会保険労務士、行政書士、建築士の各コンサルティングを掲載しています。
webマーケティング単体ではなく、事務所の経営戦略や組織づくりまで含めて相談したい場合の選択肢です。集客の施策を経営計画と紐づけて設計したい事務所に向いています。
| 会社名 | 株式会社船井総合研究所 |
| 主な対応士業 | 全士業 |
| 得意な支援領域 | 業種別の経営コンサルティング |
| 費用の目安 | 要問い合わせ |
| 公式サイト | https://www.funaisoken.co.jp/ |

流入をどれだけ増やしても、初回相談から受任に至る歩留まりが低ければ、有資格者の稼働だけが削られます。webマーケティングの投資対効果は、この最後の区間で決まります。ここでは相談の受け口から見積提示、そして受任に至らなかった相談の扱いまでを設計します。
初回相談を無料にすると件数は増えますが、情報収集だけの相談も同時に増えます。有料にすると件数は落ち、代わりに検討度の高い顧客が残ります。
判断の基準は、相談枠の空き状況と受任単価です。枠に余裕があり、かつ受任単価が高い分野なら無料相談で母数を確保する意味があります。枠が逼迫している事務所では、有料化そのものが選別の仕組みとして機能します。
中間の設計として、30分無料・以降は有料という時間区切りや、書類の持参を条件にする方法もあります。入口の重さはマーケティングの前提条件なので、事務所の分野構成に合わせて先に決めてください。

受け口は1つに絞らず、切迫度に応じて複数用意します。今すぐ話したい人にホームページのフォームだけを見せると、その場で他事務所へ移ります。
株式会社Grillは、支援先の士業事務所で受け口別の相談成立率を集計しています(弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士、2025年4月〜2026年3月、N=9事務所)。電話が62%、予約システム経由が48%、フォーム送信が27%という結果でした。フォームは温度感が低い分、返信の速さがそのまま信頼の差になります。
したがって配置は、緊急性の高い分野のページに電話番号を、比較検討中の層に予約システムを、時間外の受け皿としてフォームを置く形が噛み合います。フォームには返信の目安時間を明記し、自動返信で受付を伝えるだけでも取りこぼしは減ります。
受任率が担当者ごとにばらつく事務所では、初回相談の進め方が属人化しています。順序を型として決めるだけで、ばらつきは縮みます。
型は4段階で組み立てます。状況の確認、法的な見立ての提示、必要な手続と期間の説明、そして費用の提示と次の行動の確認です。費用を最後に置くのではなく、見立てを示した直後に置くと、金額が判断材料として機能します。
見積は口頭で終えず、その場か当日中に書面で渡します。第2章で見たとおり、社会保険労務士の会則は受任に際して業務の内容と報酬等を書面の交付等により明示することを求めており、他の資格でも同じ運びが信頼につながります。
初回相談の過半は、その場では受任に至りません。この層を放置するか資産として扱うかで、翌年以降のマーケティングコストが変わります。SNSのフォローや配信登録を面談の最後に案内しておくと、接点を切らさずに済みます。
見送りの理由は、時期が早い・費用が合わない・他事務所と比較中の3つに大別できます。時期が早い場合は、判断の目安になる時期を伝えて連絡の許可を得ておきます。同意を得たうえでメールマガジンに登録してもらえば、検討が再開したときに最初に思い出される位置に立てます。
費用が理由の場合は、「LPO会社の選び方とLP改善の進め方」で扱うLPやフォームの改善も含め、業務範囲を絞った代替案を提示できないか検討します。受任に至らなかったとしても、対応が丁寧であれば紹介の起点になります。
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費用は、相場を暗記するより「1件の受任にいくらまで払えるか」から決めます。webマーケティングの予算は、事務所の稼働と収益構造に紐づけて初めて戦略として機能します。ここでは施策別の目安を押さえたうえで、予算の上限の出し方と、内製と外注の切り分けを整理します。
施策ごとの費用は、初期費用と月額に分けて把握します。ホームページ制作のように初期費用が大きいものと、広告運用のように月額が中心のものでは、資金繰りへの影響が違います。
| 施策 | 初期費用の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| ホームページ制作 | 30万〜150万円 | 保守1万〜5万円 |
| SEO対策 | 0〜30万円 | 数万円〜50万円 |
| リスティング広告運用 | 0〜10万円 | 広告費10万円〜+手数料10〜20% |
| MEO対策 | 0〜5万円 | 1万5千〜5万円 |
| 分野別LP制作 | 20万〜60万円/1本 | — |
| 士業ポータル掲載 | 0〜5万円 | 2万〜10万円/成果報酬型もあり |
費用を比べるときは、金額そのものより含まれる範囲を見ます。同じ「月額10万円のSEO支援」でも、記事制作の本数と内部改修の有無で中身は大きく変わります。
実際、株式会社Grillが2026年8月に第6章の10社の公式サイトを確認したところ、料金の目安を掲載していたのは3社にとどまりました。開示の有無は信頼の判断材料にもなるため、見積書では必ず含有範囲まで確認してください。

予算の上限は、相談1枠が生む粗利から決めます。有資格者の稼働が有限である以上、1枠を埋めるために払ってよい金額にも天井があるからです。
入口は時間単価です。初回相談と、そこから受任に至った案件の処理時間を合計し、分野別の粗利を割ると、1時間あたりいくら稼いでいるかが出ます。この時間単価に初回相談の所要時間を掛けた額が、1枠を消費する原価になります。
たとえば受任単価8万円・粗利率70%の手続で、問い合わせから初回相談への到達率が40%、初回相談から受任への転換率が40%だとします。問い合わせ1件が生む期待粗利は約9,000円で、これを超える獲得単価では赤字になります。
同じ9事務所(2025年4月〜2026年3月)を対象に、株式会社Grillが予算設計を見直したところ、次の傾向が出ました。分野ごとに上限を引き直した事務所のほうが、同じ広告費で受任件数を伸ばしています。全分野を一律の獲得単価で管理していた事務所では、粗利の低い分野が先に相談枠を埋めてしまう傾向が見られました。
なお顧問業務では、契約期間の長さが上限を押し上げます。月額3万円の契約が36か月続けば売上は108万円になり、粗利率50%なら54万円です。スポットと顧問では投じてよい広告費が桁で違うため、予算は分野別に分けて管理します。
内製と外注の判断は、好みではなく有資格者の時間単価で決めます。受任の粗利から逆算した時間単価が1万円なら、それを下回る単価で外注できる作業は外に出すのが合理的です。
有資格者にしか書けないのは、法的な見立てと判断の分かれ目に関する記述です。ここを外注すると内容の正確さが落ち、専門性も伝わりません。逆に、広告アカウントの調整、記事の構成づくり、SNSの投稿作成、計測の設定は外注しやすい領域です。
現実的な分担は、有資格者が要点を口頭で話し、支援会社がコンテンツに整える形です。この形にすると、有資格者の負担を月1〜2時間に抑えながら、一次情報にもとづく発信を続けられます。外注しても専門性の密度が落ちないのは、判断の部分を有資格者が握っているからです。

支援会社に依頼すると、広告の運用は任せられても、規程上の責任は事務所に残ります。webマーケティングを外注するときほど、確認の工程を事務所側に残しておく必要があります。ここでは契約前に自事務所で確認しておきたい6項目を、第2章で見た規程と結び付けて整理します。
弁護士等の業務広告に関する規程の第11条は、保存義務を定めています。対象は広告物又はその複製等、広告方法に関する記録、そして広告業者との契約書その他契約内容を証する書面又は電磁的記録および当該契約に係る入出金に関する記録です。
保存期間は、広告が終了した時から3年間とされています。運用を代理店に任せていても、保存の責任は事務所側にあります。入稿した広告文やLPの版、差し替えの履歴、請求書と入金記録をまとめて残す運用を、契約時に取り決めてください。
株式会社Grillが士業事務所のwebマーケティングを前任の代理店から引き継いだ案件での話です(2025年4月〜2026年3月、N=9事務所のうち3件)。停止済みの広告クリエイティブと契約書の控えが残っていない例がありました。記録がそろわないと、過去に何を出稿したかを事務所側が説明できません。契約段階で保管場所と形式を指定しておくと、信頼を損なう事態を避けられます。
同規程の第9条の2は、通信手段により受任する場合に広告へ記載すべき事項を定めています。オンライン完結型の相談受付を設ける場合は、この3点が必要です。
「オンラインで完結」と訴求するページほど、この3点が抜け落ちやすい傾向があります。LPを新しく作るたびに、同じ記載が引き継がれているかを確認してください。
2-2で見たとおり、大阪司法書士会の規則は金品等の提供や供応による依頼の誘致を禁じており、運用指針は紹介料の提示と期間限定の報酬割引を該当例として挙げています。
支援会社から提案されがちな紹介キャンペーンや期間限定の割引訴求は、この例と重なります。成果報酬型の契約を結ぶ場合も、報酬の実質が依頼の誘致にあたらないかを、所属会の規則と運用指針に照らして確認してください。判断に迷う内容は、出稿前に所属会へ相談するのが安全です。
弁護士等の業務広告に関する規程の第9条は、広告に「一 氏名」「二 所属弁護士会」を表示しなければならないと定めています。弁護士法人の場合は、名称、主たる法律事務所の名称、所属弁護士会が表示事項です。9-2で挙げた第9条の2の記載事項は、この第9条が定める事項に加えて必要になるものです。
確認する箇所は、広告の遷移先LP、ポータルサイトの掲載欄、SNSのプロフィール、そしてメール配信のフッターです。事務所名と有資格者名、所属会が一目で分かる状態にしておきます。
他の資格でも、提供主体が読み取れないページは誤導又は誤認のおそれのある広告として問題になり得ます。支援会社が制作した集客用のLPは、ホームページ本体と別ドメインで運用されることがあります。この場合こそ、提供主体の記載が抜けやすい箇所です。
弁護士の規程第4条は、顧問先又は依頼者、受任中の事件、過去に取り扱い又は関与した事件を表示できない事項としています。ただし依頼者等については、書面又は電磁的方法による同意がある場合などの例外が定められています。
大阪司法書士会の規則も、依頼者を表示した広告と受託中・過去の案件を表示した広告を禁じ、文書による同意を例外としています。同意を得る場合は、掲載媒体と掲載期間、掲載する内容の範囲まで明記した書面を残してください。
同意が得られない場合は、業種・規模・時期をぼかした形で書きます。特定につながる情報を削ると事例の説得力も落ちるため、掲載できる案件を計画的に確保する発想が必要です。無断掲載は規程違反であると同時に、依頼者からの信頼を一度で失う行為でもあります。
支援会社の理解度は、契約前の質問で測れます。一般的なマーケティングの実績だけでは、規程への対応力は判断できません。
この5つに具体的な手順で答えられる会社であれば、規程を実務に落とし込んでいると判断できます。答えが「問題が起きたら確認します」にとどまる場合は、事務所側の確認工程を契約に明記してください。
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士業のweb集客では、相談が足りない側と多すぎる側の両方で不具合が起きます。どちらを放置しても、マーケティングの費用対効果と依頼者からの信頼を同時に損ないます。ここでは供給と需要のずれが生む4つの症状と、それぞれの解消手順を扱います。
問い合わせ件数は目標を満たしているのに受任が伸びない場合、流入の質か初回相談の進め方のどちらかに原因があります。切り分けは、問い合わせから初回相談への到達率を見れば付きます。
到達率が低いなら、集めている層がずれています。リスティング広告の検索語を確認し、自力で手続を終える意図の語や、顧客になりにくい地域からの流入を除外設定で削ります。LPの記載と実際の対応範囲がずれている場合も、この段階で脱落が起きます。
到達率は高いのに受任にならないなら、第7章の型が機能していません。費用の提示位置、見立ての具体性、次の行動の確認の3点を順に見直します。
同じ9事務所(2025年4月〜2026年3月)のうち、株式会社Grillがリスティング広告を引き受けた事務所での例です。除外キーワードの追加と検索語の棚卸しだけで、初回相談への到達率が改善しました。流入を増やす前に、噛み合わない流入を削るほうが早く効きます。

相談が枠を超えると、折り返しの遅れと対応の粗さが信頼を削ります。件数を減らすのではなく、単価と難易度で絞るのが戦略の基本です。
具体的には、粗利の低い分野の広告を止め、単価の高い分野に予算を寄せます。同じ稼働を使うなら、期待粗利が高い相談から埋めるのが合理的です。入口の相談を有料に切り替えるのも、選別の手段として機能します。
体制側の手も併用します。書類の回収と日程調整を補助者に移し、有資格者の稼働を面談と判断に集中させると、相談枠そのものを広げられます。枠が広がった分だけ、出稿量を戻す判断ができます。
顧客の幅を広げようとして取扱分野を増やすと、検索での評価も相談者の印象も薄まります。専門性と信頼が伝わらないサイトは、比較の段階で候補から外れます。
見直しは、分野ごとの受任件数と粗利を1年分並べるところから始めます。件数も粗利も下位の分野は、ホームページの主導線から外し、コンテンツとSNSの更新対象からも外します。
残す分野は3つ以内が目安です。「何でも扱える事務所」より「この手続ならこの事務所」と認識される状態のほうが、地域での指名につながります。絞り込みは専門性の裏付けとして働き、地域内での信頼も積み上がります。削った分野は、他事務所への紹介先を用意しておけば機会損失になりません。
web集客が止まる最大の理由は、戦略の誤りではなく更新の停止です。繁忙期に手が回らなくなり、そのまま数か月放置されるパターンが繰り返されます。
対策は、更新の量を平時の半分でも回る水準に設定することです。月4本の記事を前提に組むと繁忙期に破綻しますが、月1本と決めれば続きます。続く量に落として運用を切らさないほうが、検索での評価は積み上がります。これはSNSでも同じで、投稿頻度を落としてでも止めないマーケティングの設計にします。
外注する場合も、有資格者の関与を月1〜2時間に固定し、その枠内で回るマーケティングの設計にします。担当者が代わっても運用が続くよう、キーワードの一覧と過去の実施内容を共有ドキュメントに残しておいてください。

最後に、士業事務所から実際に寄せられることの多い疑問に答えます。規制と差別化、事務所の規模、契約形態ごとの違い、そしてwebマーケティングを外注するときの進め方まで、判断が割れやすい線引きを整理します。
あります。差がつくのは訴求の強さではなく、扱う相談の絞り込みと情報の粒度です。
第2章のとおり、弁護士の規程は比較広告や誇大な広告を禁じており、勝訴率も表示できません。そのため「強さ」を言葉で主張する競争は、そもそも成立しません。
代わりに、手続の流れ・必要書類・費用の内訳・想定される期間を具体的に書き切ると、相談前の不安が減ります。情報の粒度は専門性の証明として働き、地域内での信頼にもつながります。
成立します。むしろ第1章の考え方は、有資格者が1人の事務所でこそ効きます。相談枠の上限が明確なため、必要な問い合わせ件数を計算しやすいからです。
戦略は、分野を1つに絞り、地域名との掛け合わせでリスティング広告とGoogleビジネスプロフィールから始めます。月10万円台の予算でも、枠の上限が月8件なら十分に埋まります。規模の小さい事務所が全分野で発信すると稼働が破綻するため、絞り込みが前提条件になります。
分けたほうが成果は安定します。検討期間と判断者が違うためです。
スポット案件は本人が期限に追われて検索するので、リスティング広告とMEOで今すぐの相談を拾います。顧問契約は経営者が数か月かけて比較するため、SEO・コンテンツ・SNS・ウェビナー・メールマガジンで信頼を積む戦略が必要です。同じサイト内で導線を混ぜると、どちらの層にも刺さらないページができます。
任せられますが、依頼の仕方を先に決めておく必要があります。代理店は事務所の稼働状況を知らないため、放置すると日予算は前月のまま流れ続けます。
現実的な運びは、月初に翌月の相談枠を共有し、枠に応じた日予算の上限を2〜3段階であらかじめ決めておく方法です。「枠が半分埋まったら日予算を7割に落とす」といった条件をルール化しておくと、都度の判断が要りません。この調整を月次で行うのか週次で行うのかも、契約時に確認してください。
施策によって幅があります。リスティング広告とポータル掲載は出稿の当月から相談が入り、MEOは登録と整備からおおむね1〜3か月で地図経由の流入が動きます。
SEOとコンテンツは、記事の公開から検索での評価が固まるまで半年前後を見ておきます。短期の受任は広告で確保し、その間にSEOを育てる二段構えが、資金繰りの面でも現実的です。
Googleビジネスプロフィールの整備と、分野を1つに絞ったLPの用意から始めます。どちらも初期費用が小さく、受任までの距離が近いためです。
ホームページは最初から作り込まず、相談が入り始めてから分野を増やす順序で構いません。開業直後に高額なホームページ制作へ資金を投じると、広告に回す原資がなくなります。紹介経由の案件がある間に、webマーケティングの導線を並行して育てる進め方が安全です。開業初期の戦略は、資金を減らさないことを最優先に置いてください。
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相談枠は毎月変わります。決算期や年度替わり、大型案件の着手で枠が縮む月に出稿量を据え置けば、その月の広告費は取りこぼしを買っているのと同じです。枠の見直しはマーケティングの月次業務なので、着手が遅れた分だけ無駄が積み上がります。
組み直しの順番は3つです。第1に、有資格者1人あたりが初回相談に充てられる枠を数え、分野別の受任単価と粗利を並べます。第2に、その粗利から許容できる獲得単価を出し、超えている施策を止めます。第3に、余った枠を埋める施策を、受任までの距離が近い順に足していきます。
この順番で回すと、増やす判断と止める判断を同じ物差しで下せます。第3の段階では検索まわりの投資額も見直すことになるため、外注費の水準は「SEO対策の費用相場とおすすめ会社」で確認しながら戦略を決めてください。
広告を止めるべき月に止められる事務所は多くありません。代理店の管理画面を触れず、どの数字を見て絞るかも決まっていないまま、日予算が前月のまま流れていくためです。
株式会社Grillは、士業事務所の相談枠を先に確認し、その上限にwebマーケティングの投下量を合わせる運用を組みます。枠が縮む月は出稿を絞り、広がる月は戻すという調整を、月次ではなく週次で回せる体制を用意しています。
表現の面では、各資格の規程で表示できない事項を外したうえで広告文とLPを設計します。勝訴率や依頼者名に触れず、比較広告にも当たらない形で、手続の流れと費用の内訳を具体的に見せ、専門性と信頼が伝わる作りに寄せます。
分野別LPの制作、検索語の除外設定、Googleビジネスプロフィールの整備、コンテンツとSNSの設計までを同一チームが担当するため、入稿物の確認工程も一本化できます。
費用の条件は第6章に記したとおりで、広告運用もSEO・MEOも、有資格者1人の事務所が抱えられる規模から始められます。相談枠が小さいうちは出稿も小さく、枠が広がってから投資を増やす順番で構いません。無理に予算を積んで枠を超えさせないことを、戦略の前提に置いています。
着手は、有資格者1人あたりの相談枠と、分野別の受任単価を並べるところから始まります。出稿量の上限を先に決めてしまえば、御社の広告費が枠を超えて膨らむことはありません。
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